第30話林間学校

 新年度が始まり二週間が過ぎた。 四月もあと一週間というところまで来て、来週のゴールデンウィーク前のイベントが待っていた。


「澪は来週何やるかわかるか?」

「林間学校でしょ? 年間行事予定に書いてあったからわかるよ」

「そうだね、書いてあるもんね」


 有紗と澪、二人で俺をバカにするように言ってくるのを笑って受け流しながら、澪と有紗の前にコーヒーを持って座る。

 二人がリビングで勉強していることが珍しい。


「一年生と二年生が一緒に二泊三日過ごすんだけど、それが一年と二年の混合班なんだけど、去年もあった話だぞ。 去年も一年と二年の間でケンカがあったから気をつけろよ」

 

 俺はそう言ってコーヒーを持って二階の自室に戻った。

 そのあとを追ってきたのか有紗も続いて俺の部屋に入ってきた。


「ねぇ、なんであんな嘘を言ったの?」


 少し怒ったように俺に詰め寄ってくる有紗に「まぁまぁ」となだめながら理由を話す。


「簡単だよ。 澪はこういうイベントごとだと調子に乗って変なことをやらかすからああいう嘘を言ったんだよ」


 有紗の前だと行儀正しくしていて変なことをすることはないが、家族だけでキャンプに行った時に澪が変に気を張りすぎたせいで肉がすべてなくなったことがある。

 あの時の澪の絶望したような顔を今で鮮明に思い出せる。


「まぁ、これで俺と有紗どっちかが澪と同じ班になれればいいんだけどな」

「明日だよね、班のメンバーが発表されるのって」

「そうだな、明日決まるな」


 一年生はクラスバラバラで班のメンバーが組まれるが、二年生は大体同じクラスの人で組まれることが多いらしい。

 これはなぜかと聞かれると分からないと答えるしかないけども。


「一緒の班になれるといいね、拓斗!」


 そう言って部屋を出ていく有紗、俺は有紗との関係がばれたくないから同じ班にはなりたくないと言うのが本音だ。


「まぁ、多分一緒になるんだろうな」


 そんな気が何となくした。



 朝、ホームルームで今日の昼のロングホームルームで発表があると言うことを言われた。

 そして、昼の授業、一番最初に班のメンバーが発表された。

 その班の中には武人、結花さん、常坂さんそして、有紗の5人が同じ班だった。



「おぉ、まさか有紗さんと同じ班だとはな」

「驚いた」


 こうなるだろうとは思っていたが実際になると普通に驚いた。

 この後は普通に別のことをして、班のメンバーは放課後に集まったりするようだった。

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ボくらのひめゴト 狐火キュウ @kitunebikyu

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