第28話新年度2
面白くなさそうに呟いた結花さんにどうしたのか聞いた。
「どうかしたの?」
「面白くないなぁって思っただけ」
そう言って有紗のほうを向ていた武人の首をグイっとこちらを向かせるようにした。
いきなり首の向きを変えられたことで首を痛めたようで首を押さえていた。
「大丈夫か、武人?」
「首がゴキっていった」
首を押さえて痛がる武人を見てやった本人である結花さんを見る。 結花さんはやられて当然と言う表情をしていた。
「ほかの女を見るからいけないんだよ」
「ゆ、結花ちゃん、それでもやりすぎだよ」
そう言う結花さんの隣であわふたしている常坂さんを見て笑ってしまった。
笑った僕を見た武人が肩を掴んできた。
「お前、笑ってないで俺の心配しろよ」
「ごめん、ごめん」
肩を掴まれて武人のほうを見ると首を押さえながら恨めしそうにそう言った。
僕は謝りながら、ストローを刺したままにしているカフェオレを飲み干した。
♦
「まさか同じクラスになるとはな」
「そうだね、ボクも驚いた」
今日はクラス内で自己紹介と先生から明日の予定を聞かされて終わった。 クラス内での自己紹介の時に出身中学校が有紗と同じということに少しだけクラス全体がざわめいていた。 まぁ、それだけなんだけど。
「今頃、入学式やってるのかなぁ」
「母さんが行くって言ってたから大丈夫だと思う」
そう言って冷凍ご飯を冷凍庫から出して、フライパンで焼く。
「それにしてもクラスになって思ったけど、やっぱり有紗って人気なんだな」
「そうみたいだね。 ボクもここまで視線を集めるとは思わなかった」
少し疲れたようにぼやく有紗に苦笑しながら焼き飯を作っていく。
有紗はよほど疲れているのかクッションを抱えながらうとうとしている。
「昨日から澪の心配でほとんど寝てないだろ」
うとうとしている有紗に二階から毛布を持ってきて有紗にかける。 有紗は毛布を持ってきた俺に微笑みかけると寝た。
それを見て二人分作った焼き飯をどうしようかと考える。
「まぁ、保存しとくか」
そう言って一人で焼き飯を作って食べる。
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