第24話彼女

 朝十時過ぎ、昨日ははしゃぎ過ぎて起きるのがものすごく起きるのがつらくなった。

 今日は武人に呼び出されて学校の近くの駅に待ち合わせをしてていた。


「それにしても遅い……。 なんで呼び出した本人が一時間も遅刻してんだよ」


 九時に集合しようと言われて九時前から待っていたが一時間たっても一向に武人が来る気配がない。

 時間を間違えたかと思って通話アプリを見ても『九時集合な』と書いてあった。


「もう三十分待っても来なかったら帰るか」


 三十分以上待っても来ないだろうと思いながらベンチに座る。 その間、有紗におススメされたスマホアプリのゲームをする。

 このゲームは縦横にブロックを並べて、ブロックを消してスコアを稼ぐゲームだ。

 これが意外と面白くて結構長続きしている。 RPGやFPSは長続きしたことがあまりなかったからよかった。


「早く来ねぇかなあいつ」

「お待たせ」


 そう声がかかって頭を上げると武人が僕を見下ろしていた。


「遅い」

「すまん、寝坊した」

「連絡ぐらいして」


 寝坊したと言う武人に呆れながらもスマホをしまう。 僕のその姿を見て体の前で手を合わせて謝るポーズをとる武人に頭をかきながら許した。


「で、今日呼んだ理由は?」

「俺の彼女が前に会いたいって言ったよな」

「言ってたっけ」


 武人にそう言われるけど聞いていたのは「俺の彼女と会わない?」だけだ。

 当の武人も「あれ?言ってなかったっけ?」とぼやいているほどだから言い忘れていたのだろう。


「これかどうすんの?」


 彼女さんを一時間も待たせている武人に彼女さんは待っていないだろうなと思いながらそう聞いた。


「これから二駅先に行く」

「一時間以上経ってるの待ってないだろ」

「今から連絡とる」

「は?」


 つまり、一時間以上待たされたのは僕だけということかな? 彼女さんはこれから来ることになるのか。


「どこに行くの?」

「カラオケ」

「歌えないよ?」

「合いの手でもやっとけ」


 そう言われ軽く横腹に肘うちする。 わき腹を押さえて痛がっている武人を鼻で笑う。


「寝起きに物理的なツッコミはやめてくれ」

「お前が悪い。 それよりも早く連絡してくれ」


 自分自身でも思っていたよりもイライラしていたことに少し驚いた。

 僕自身は全く怒っていないつもりだったけども、武人に思っていたよりも強めの一発が入った。


「よし、それじゃあ行こうか」

「頼んだ」


 そう言って僕は武人の後ろをついていく。 初めて会う人かもしれないからものすごく緊張する。

 

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