第35話 勝利の鍵

「メダ!こいつと戦うのは、危険だ!!」


 ケフェウスが、アンドロメダに叫ぶ。


「大丈夫よ、無茶をする気はないし、アリエスを倒したのは、私でしょ?」


「それは、そうだが…」


 ケフェウスが、悩む。

 キャンサーが二人を見て、言う。


「新手ですかぁ?次から次へと、忙しいやつらだね!!」


 キャンサーが、腕を振る。

 アンドロメダが、右手を前に向ける。すると、アンドロメダの前に、騎士の姿をした土人形が現れ、破壊される。


「きゃっ!これでも防げないの…」


 アンドロメダは、しゃがんで斬撃を避ける。ケフェウスは、初めて見るアンドロメダの魔法に、驚いていた。


「身代わりを作ることもできるのか。」


 ケフェウスのつぶやきが、消えるぐらいの大声をあげるキャンサー。


「また、新手。うじゃうじゃうじゃうじゃ。虫ですか、貴方達。」


 意味不明な怒りを表すキャンサーに、アンドロメダが弓を弾く。

 矢の先端からは、突如、小さな火が着く。


「これでも、くらいなさい!!」


 火矢は、キャンサーの眉間を狙う、が。


「そんな、遅い攻撃じゃあ、当たらないよねぇ。」


 キャンサーが、ぐねぐねと揺れ、腕を振る。

 火矢が、細切れにされ、落下する。


「私の矢が…」


「ねぇ?助けに来たの?それとも、アク―達の勝負の水を差しに来たの?」


 キャンサーが、地団太を踏む。


「助けに来たに、決まっているでしょう!」


 アンドロメダが、矢を放つ。直後、突風が吹き、矢を高速化させる。

 高速化した矢が、キャンサーの眉間に直撃する。

 しかし、その矢は、キャンサーを傷つけることなく、跳ね返る。


「んあ?なんかやったのか?」


「矢も効かないの⁉」


 アンドロメダが、焦る。


「メダ、もう下がっていろ。これ以上は危険だ。」


「で、でも、私だって…」


「キャンサー!!俺が相手だ。」


 アンドロメダの言葉を塞ぎ、ケフェウスが、キャンサーに剣を構える。


「なんですの?茶番は終わりか?それじゃあ、邪魔者には退場してもらいましょうか!!」


 キャンサーが、アンドロメダに向かって、腕を上げる。


「待て!!キャンサー!! お前の相手は、俺だ!!

 メダは、もう関係ない!!」


「関係ないよね?だって、また邪魔してこないとは、言えないじゃなぁい!!」


 キャンサーが、腕を振り下ろす。その直前、キャンサーの顔に透明な玉が投げられる。


「痛い!!」


 キャンサーが、顔を手で押さえる。


「そこまでです、アナタの『コマーシャルの時間』は。

 始まりです、ボク達の商売の。」


 ケフェウスとアンドロメダが、振り返るとそこには、白髪の少女が立っていた。

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