第32話 VS蟹の座
「キャハ、逃がすわけねぇじゃんねぇ?」
キャンサーは逃げるケフェウス達の方を向いて腕を上げる。
「アタシが逃がすんだよ!!」
ベラトリクスは後ろからキャンサーの横っ腹を蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたキャンサーは簡単に吹き飛び倒れる。
「剣は効かなくても蹴りは効くようだな!」
余裕を見せ笑うベラトリクス。その言葉が終わるとキャンサーはゆっくりと立ち上がりベラトリクスを睨む。
「いったいなぁ。いきなり後ろから蹴とばすなんてひどいですよねぇ!!」
キャンサーは腕を振り下ろす。その後ベラトリクスの後ろにあった瓦礫に傷が付く。
「あれぇ?外れちゃったぁ。本当に早いね貴方。」
キャンサーのその言葉を聞きベラトリクスは後ろの瓦礫を確認してある可能性に気づく。
「(こいつ、さては相当目が悪いのか?アタシのスピードは確かに速いが目の前にいて見失われるほどの速さじゃねぇと思うし。さっきに関してはアタシは避けてすらいない…
それなのにアタシが避けたと思っていやがる…ならば!!)」
ベラトリクスはまたキャンサーに対してジグザグに走る。
「ちっ、うじゃうじゃと数で攻める作戦でぇすかぁ!」
キャンサーにとってはベラトリクスが増えて見えているらしく腕を振るうが地面に傷ができるだけでベラトリクスには攻撃が当たらない。
「もういっちょ蹴り飛ばして…」
ベラトリクスがキャンサーの左側に移動して蹴りを入れようとする。
「はぁ、めんどくさいなぁ。」
キャンサーはそういうと両手を広げ体を回転させる。すると、両手に巨大なハサミを半分にしたような刃物を持つ『
問答無用の斬撃はベラトリクスにも襲い掛かる。ほとんどの斬撃はベラトリクスの体を擦り太ももや腹、頬に傷を作る。
「くっ…たぁ!!」
傷の痛みに耐えつつベラトリクスは右足でキャンサーの顔を狙う…
「がぁ!!」
しかしその足はキャンサーの顔に当たることなく、ベラトリクスの足は太ももからベラトリクスの体を離れる。
「あ…アタシの足が…」
ベラトリクスはうつ伏せに倒れ、落ちた自分の足を確認する。
「キャッハハー、綺麗な足が斬り落とされちゃったねぇ。」
キャンサーはベラトリクスの近くまで歩いてきて倒れたベラトリクスを見下ろすようにしゃがむ。
「ほーんと、傷一つなくて綺麗な足だったってーのによぉ。」
キャンサーはベラトリクスの足を見てそういった後、ベラトリクスの髪を思いっきり鷲掴みにして頭を持ち上げる。
「痛い?ねぇ、痛い?痛いねぇ?痛いですよね?」
「貴様ぁ!!」
ベラトリクスはキャンサーを睨むと手に持った短剣でキャンサーの首を突く。しかしキャンサーの首には傷一つ付かない。
「キャハァ、無駄だって言ってるのになんで分っかんねんねぇの?」
生気のない目を開いてベラトリクスに顔を近づけるキャンサーの後ろに、一人の『
「キャンサー様お楽しみはそのぐらいで、指揮官を仕留めたのならば早く『
それを聞くとキャンサーはゆっくりと立ち上がり振り向くと…
「あ?なんか言ったか?」
『
「あれぇ?背後に死体が…
片足ないのに速いんだねぇ。貴方は。」
キャンサーはベラトリクスの方を首だけで見る。
「は?お前何を言ってんだ…」
ベラトリクスはキャンサーを怯えた目で見た。するとキャンサーは両頬を手で包み体をくねくねさせる。
「いやぁん、そんな目で見られちゃ興奮しちゃうじゃなぁい。」
「いい加減気持ち悪いんだよ。この悪魔が!」
突如くねくねさせたキャンサーに剣が振り下ろされた。
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