第31話 狂気の人斬り
ベラトリクスを初め『ペテルギウス聖騎士団』が『エルナト』に向かい移動する。
ケフェウスは心の中で『ハマル』と同じ光景が見えない事を祈った。
しかし『エルナト』に着くとケフェウスの心配したことは起きておらずそれどころか『エルナト』の民は平和に生活をしていた。
「まだ『
ケフェウスがそう発言しそれを確認したベラトリクスは「今のうちに民を避難させるぞ。」と命令し騎士達はそれに賛同した。
「なんだいあんたら!!」
「話は後です!皆さんとにかくここから避難してください!ここは今危険ですから。」
文句を言う民達をケフェウス達は説得し避難を促す。しかし騎士達は避難を急ぎ、説明を省略してしまったため、民達は避難を急ごうとはしない。
ケフェウス達がそれに困っていると突如ケフェウスの後ろにいた女性が倒れる。
ケフェウス達が「なんだ⁉」と後ろを見る。そこには恐れていた絶望が存在していた。
「斬って、斬りつけて、斬り裂いて、斬り刻んで…
ああ、最高!!」
黒装束の集団の先頭にいる白いロングヘアーの女性が目を見開きながら腕を下から上に振る。そうすると次々と民が斬られたような傷を負い倒れる。その光景を白ロングは頬に手を当てて笑顔で見る。その顔はまるで斬られて倒れた者を見て興奮しているようだった。
「いたっ…」
黒装束から逃げていた少女の足に切り傷が付き少女はうつ伏せで倒れる。倒れた少女の後ろに白ロングが腕を掲げ立つ。
その光景を見てケフェウスが「待て!!」と叫び走り出す。
それに対して白ロングはケフェウスの方をゆっくりと見て…
「あ?なんかいったか?」
その一言を言い終わると白ロングの腕は振り下ろされる。直後転んだ少女の首が飛ぶ。
「お前ぇ!!」
ケフェウスはそれに激怒しその速度を上げ白ロングを叩き斬ろうと剣を振り下ろす。
しかし、その剣は白ロングの
「何⁉こいつ自分の腕を犠牲に⁉」
白ロングが剣を受け止めた腕を振るとケフェウスは押し飛ばされてしまう。ケフェウスは再び白ロングを睨むが目の前には異様な光景があった。
穴が開いた服から見える細い腕は、斬り傷が沢山あるものの先程ケフェウスが付けたと思う角度の傷はなかった。
「アク―が腕を振るえばあらゆるものが斬り裂かれる。アク―の皮膚はもう二度と刃を通さない。
『最強の矛』と『最強の盾』を持つアク―は無敵なんだよねぇ。」
体を変な方向に曲げ「キャハハ」と笑う白ロングにベラトリクスは奇妙なものを見る目をしながら言う。
「気持ち悪い!!お前なんなんだよ⁉」
「何だってぇ?ああ、自己紹介まだだっけ。」
すると白ロングはその奇妙な動きを止め背を伸ばしその後両腕を広げお辞儀する。
「アク―はねぇ、『
『キャンサー』だよぉ。」
自己紹介が終わるとキャンサーは笑いながら広げていた腕を胸の前でクロスにする。その直後ベラトリクスの隣にいた騎士の鎧に傷がつきベラトリクスの斜め後ろにいた男性の背中に斬り傷が付く。
ベラトリクスはその光景を見て「な!」と声を漏らしキャンサーを睨みつけ駆け出す。
「あれぇ?さっきの人消えちゃったぁ。」
キャンサーはベラトリクスの速さに目が追い付かなかったのか周りを見回し始める。その隙にベラトリクスはキャンサーの背後に入りキャンサーの首めがけて剣を振るう。
「ちっ!」
しかしその剣もキャンサーの首を切断することはなく、首に剣を止められた。
「あ!みぃつけた。」
首だけで振り向いたキャンサーの目は死んだ魚のような目をしていてベラトリクスはそれに恐怖を覚え斜め後ろに飛んで逃げる。
完全に振り向いたキャンサーが腕を斜め上に振るう。ベラトリクスが急いで飛んだことで最悪の自体は避けれたがベラトリクスの腕に斬り傷が付く、さらにベラトリクスが元々いたと思われる場所の真後ろにあった家が斬り崩された。
「くっそぉ、ケフェウス!アンドロメダ!ポルックス!三人は民の避難を急げ、残りでこいつらを蹴散らすぞ!!」
ベラトリクスがそう叫ぶ。ケフェウスとアンドロメダ、ポルックスは「はい!!」と答えると民達を集め村の出口に向かう。
それを見てキャンサーは頬に手を当て、にやりと笑う。
「キャハ、逃がすわけねぇじゃんねぇ?」
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