第33話 ギャル制裁
■美桜視点■
「ちょ、あいつら普通に帰ってきてんじゃん! 麻耶、ちゃんと穴開けたわけ!?」
「開けたし! 目立たないように小さくて、しかも広い範囲に大量に! 我ながら完璧な仕事人っぷりと思ってたんだけど!?」
「なんか面白そうな話してるじゃん。美桜もまぜてよ!」
「「っ!?」」
ギャルを追跡しながら撮影を続けていた美桜は、無事に帰ってきたおにぃと司先輩を見てたじろぐギャル達に声をかけた。
おにぃを信じて美桜は証拠集めに集中してたわけだけど……やっぱり心配だったから、無事に二人が帰ってきてくれてよかった。これでこっちに集中できる! さあ、お仕置きタ~イム!
「あんた、昨日司といたチビじゃん。なに、ウチらになんか用?」
「アタシら忙しいから、お子様はその辺で砂遊びでもしてろし!」
「ふ~ん、そんな態度取ってていいわけ? 美桜、さっき面白い映像を撮っちゃったんだよね」
美桜はスマホを軽快に操作して、さっきこいつらが浮き輪に細工をした動画を流す。すると、二人は揃って面白いくらいに驚いていた。
ふふっ、その顔面白い! 美桜の大切なおにぃと司先輩に酷い事を言ったりやったりするからこんな目に合うんだよ!
「結構近くで見てたんだけど、二人共浮き輪への細工で夢中で美桜に気づいてなかったの、滑稽だったな~。しかもその後に追いかけてたのにも気づかないし」
「はぁ!? ストーカーじゃん! きっも!」
「さっさとその動画消せし! ぶっ殺すぞ!!」
「うるさいなぁ。ヒステリック起こさないでよ。偉そうに言ってるけど、あんたら殺人未遂なんだからね?」
もしおにぃが何かしらの理由で離れていたら、司先輩は溺れ死んでいただろう。おにぃなら絶対に離れないと思っていたし、信じてたから美桜はこっちに来たわけだけど……改めて冷静に考えると、かなり危ない橋を渡ってたなぁ。
「うっせーんだよストーカーチビ! さっさとそのスマホ寄こせ!!」
「よっと! あげるわけありませ~ん♪」
金色の方が勢いよくタックルして来たけど、美桜にそんなの効かないもんね~。柔道経験者舐めんなよってね! おっと危な~い! でも当たりませ~ん!
「いや~反省の色も見えないし、この映像を実名付きでSNSに拡散しちゃおっかな~?」
「ふざけんな!」
銀色の方も加勢してスマホの強奪を仕掛けてくるけど、そんなのに負ける美桜じゃないもんね。
さて、反省する気はゼロみたいだし……やっちゃおっかな!
「あ、ごめんなさーい。間違えて投稿しちゃった! てへっ♪」
「「はぁ!?」」
うわっ、凄い綺麗にハモったな~! 流石は姉妹って感じ? そういう息がピッタリなのはいいけど、性格が悪い所まで似なくていいのにな~。
「ふっ……ふざけんなよクソガキ! こちとら有名大学と付属高校に通う優等生なんだけど!? アタシらの顔に泥を塗りやがって!!」
「知らないよそんなの。優等生なら、遊びで他人の幸せどころか、命を奪いかねない事をしていいわけ? これは因果応報だよ。意味は知ってるよね、優等生さん?」
一旦距離を取ってから、わざと煽るように笑うと、怒りが頂点に達したのか、二人揃って美桜に突進してきた。
さてどうしようかな。このまま投げるのも転ばせるのも簡単だけど……そんな事を考えていると、おにぃが司先輩を連れて間に割って入ってきた。
う~ん、そろそろ来るとは思ってたけど、我が兄ながらナイスタイミング! 惚れ惚れしちゃうね! あ、こんな事を考えてたら、司先輩に怒られちゃうかも? てへっ。
「お前ら、俺の妹に何してんだ?」
「はぁ!? どっから湧いて出てきたんだ筋肉! そこ退け! そいつは――」
「話は俺達の所にも聞こえてた。これ以上俺達に絡んでくるようなら、この映像を持って警察に行こうと思ってるが、どうする?」
事情を説明しようと思ってたけど、あれだけ騒いでたら聞こえちゃってるか。伝える手間が省けるから、美桜としてはその方が助かるけど!
それにしても、警察沙汰にしようとは思いつかなかったなぁ……脅す方法としては、そっちの方が効果的だったかも?
「はんっ! 上等じゃん! そっちも盗撮の罪があるの忘れんなよ!?」
「盗撮と殺人未遂、どっちがその先の人生に悪影響があると思う? それをよく考えたうえで発言をした方が良い」
「「…………」」
「それで、どうする? 俺達も大事にはしたくないんだが」
「わ、わかった。もう絡まない……だよね、沙耶」
「そ、そうだな。こんな連中にこれ以上絡んでも良い事ないっしょ……」
ここまで言われて自分達の立場がわかったのか、二人は絡まないことを誓ってから、顔を真っ青にして逃げていった。
全く、そんなに怯えて逃げるような醜態を晒すくらいだったら、さっさと謝っちゃえばよかったのに。
なんにせよ、悪は滅びる! 正義……ううん、おにぃと司先輩の愛は勝ーつ! なーんてねっ!
「全く、美桜があいつらと一緒にいるから急いで来たはいいものの、内容が予想外過ぎてビックリしたぞ」
「いや~ごめんごめん! 元々はおにぃと司先輩が遊んでるのをこっそり撮ろうかと思ってたんだけど、あいつらが浮き輪に細工してるのをたまたま見てさ。そのまま動画を撮りながらあいつらについていって……後は流れで、的な?」
「……俺達の事を撮ってたのも気になるが……そうだ、さっきSNSに投稿とか言ってたよな? 本当にSNSに投稿したのか?」
「してないよ~? あれはあいつらを煽るための……ウソ!」
あいつら、前に話した時に自分達は凄い学校に通ってるって事を自慢してたし、お世辞にも頭は良さそうな感じはしなかったから、自分達の地位を守るために、あんな嘘に騙されて乗ってくるかな~って読みだったんだけど、見事に的中! 美桜って凄ーい!
「無茶しやがって……」
「まあいいじゃん! おにぃや司先輩に酷い事をしたんだし! それに、これであいつらはもう絡んでこないだろうし、残りの旅行は全力で楽しめるよ! というわけで……司先輩! 残りも目いっぱい楽しみましょうね!」
「うんっ……ありがとう美桜ちゃん」
司先輩に抱きつきながらそう言うと、お礼を言いながら優しく抱きしめ返してくれた。
そんな酷い事をするなって言われたらどうしようって、今一瞬だけ思ったけど、そんな事はなかった! これで三人で旅行も楽しめる!
「それで、二人で沖に出てどうだった?」
「「…………」」
お? おお?? なんでそんなにチラッと互いの顔を見つめてから、顔を赤らめているのかなぁ? これは何かあったに違いない! 態度も変だし、浮き輪とパレオも消えてるし……ぜ〜ったいになにかあった!
にゅふふ……おにぃと司先輩を応援する隊の隊長として、根掘り葉掘り聞きませんとなぁ!
――――――――――――――――――――
【あとがき】
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