第7話 最終回じゃなかった! ってか、何気に新展開!

気がつくと、すごい綺麗な夜空だった。


夜の静かな海……知らない男と母親……小さい子ども。


いや……俺の親父はや◯ざじゃなかったのか?

意外にすごく真面目そうな人間だ。

……でも、確かにそうかもしれない。


俺は全く怖くない一般人だもんな。

バイト先でも舐められてたしさ。


そして、やっぱり美しい母親。

俺にとっては最高の美女だった。

天使も俺の母親自慢に関しては楽しそうに聞いていたし……

あっ天使……ははは、思い出した。俺、天使とエッチなことしたいからって闘って負けて死んだんだよな。

俺らしい終わり方だよ。


「おとーさん! おかーさん! 海がこっち来る!」


押し寄せる波を見た幼い頃の俺が無邪気に両親に報告すると、男に強面の男が近づく。


ん? こっちが組員さんが言ってた親父の方じゃ?


親父と言われていた強面の男が言う。


「刑事さん、あとは任せな。アンタの息子と恋人は俺が責任持って幸せにするよ」


親父……実は刑事なのか?


もうそんなこと……どうでもいいし、わかりゃしない。


わかってるのは俺が死ぬことだけ。

幸せな時……天使と過ごせた時間。


全部終わった……白い光に包まれた。


ああ、生まれ変わりが近いんだ。


……


……



俺はベッドで目を覚ます。


そこにはレオニダスや……誰だ? いや、思い出した。神様だ!


「おい! 目を覚ましたぞ!」

「よかったです……実験で死なれたら困りますからね」


相変わらず、言葉が悪い。


とりあえず、俺は生きていた。

二人から話を聞くと、心配した神様、レオニダス、果心居士の三人が止めに来て命を助けてくれ、1週間ほど眠っていたらしい。


「天使は?」


レオニダスは神様に言う。


「お前、本当のことを言えよ」


神様は頷いて話出す。


「わかりました。実はあの人、天使じゃなくて……元々人間なんです。近未来の特殊型の……半分はサイボーグ。何百人という人間を殺した暗殺者兼エージェント。死後は堕天使に騙されて鬼化してしまいました」


ちょっと待て! そんなヤバい奴を送り込んでたんかい!?


レオニダスと果心居士が俺と同じことを思っていたらしく、神様を冷たい表情で見つめている。


神様は空気を読み、焦り出す。


「か、彼女は更生施設で真面目にプログラムを消化していったから! うん、だから大丈夫だと。でもまさか、こうなるなんて……最後に実験として5億年、メイドとして下働きしたら、本物の天使にさせようかなと……やはり無理でしたね」


いやいや、彼女は全く悪くない。

俺の下心が悪いんだし、それまでの2000年は普通に過ごせていた。


「彼女は魂ごと破壊して二度と生まれ変われない無の世界に行ってもらいます。罪滅ぼしですが、貴方には同じようにリがつくアニメのレ◯ちゃんそっくりのメイドを……」


そんなのいらん!

2000年彼女と共に生きていたが、楽しかった。

全部俺が悪いんだ。

彼女がいいんだ!

そもそも、リがつくアニメで美少女が出てくるのは一つしかないだろう!?

最初からレ◯ちゃんじゃなかったのか?


いやいや、そんなことはどうでもいい。


俺は


「いや、俺が彼女に対してセクハラ紛いの目で見たから悪いんです。お咎めなしで、これからも変わりなく彼女と四億年過ごさせてください」


と言った。

罠に嵌めた神様に初めて敬語を使い頭を下げて頼んだ。


「俺からも頼む……何とかならないか? コイツはそれでも天使のことが好きなんだよ」


レオニダス、果心居士も神に言ってくれた。




すると、


「正気ですか? こんな苦しい目にあっても? 私は構いませんが……」


俺は嬉しくなった。

もうエッチなこととかどうでもいい。

俺とレオニダスたちは顔を見合わせて喜んだ。



そして、数日後、神様は約束通り彼女は戻ってきた。

ただひたすら悲しそうな顔をしていた。


そして、まっすぐ部屋に行って引き篭もる。


内から元気なく


「ごめん……本当にごめん」


とだけ聞こえてくる。


1週間くらい、会えずに過ごした。

すごく寂しかったし、やっぱり彼女が作るご飯が最強すぎた。


そして、やっと出てきたと思いきや……空虚な瞳。


「大丈夫? 俺が見える?」


「見えるも何も写ってるじゃん」


と、ニコリと笑って見せた。

よかった。精神状態は悪くないようだ。


そして、唇を開かせて言う。


「実は……もう一度、更生プログラムを受けようと思うんだ」

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