第2話

ぼくは何故だかよく分からないけど、こたつの中に入れられた。

どうやらぼくは、捨てられずに済んだらしい。

あの優しそうな顔をした男の人が、ぼくをこたつに入れてくれたんだ。

こたつって暖かいなぁ。


と言うことは、あの店員さんがぼくのご主人さんになるのかな?

あの人ならきっと、名前を考えてくれるよね?くれるよね?

どんな名前をつけてくれるのかなぁ。

楽しみだなぁ。


「はい、記念日…。違うなぁ。」


何やら、台詞を考えているらしい。

一体なんの台詞なんだろう?


「まぁ、取り敢えず着けておくか。」


と、ぼくの首に小さな袋が繋がった紐を着けた。

一体これはなんだろう?


「おっと、中に入れるのを忘れていた。」


男の人はぼくの首にぶら下がっている小さな袋の中にキラキラした何かを入れた。

それはなんだかとても大切な物のように見えた。

きっと、そうなんだ。

きっと、とてもとても重要な物なんだ。


ぼく達ぬいぐるみは人のちょっとした想いが分かったりする。

だからきっとこの勘は合っている。

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