土の精霊④
やっと二人が落ち着いたので、優しく頭を撫でてあげる。
土の精霊ノームと思われる岩の隣に二人を座らせて、コメがドヤ顔しながら佇んでいる岩の前にやってきた。
「初めまして。僕はクラウド」
ゆっくりと手を伸ばして岩に触れると、一瞬ビクッとなった。
この子は多分臆病なのかも知れない。精霊達にはそれぞれ属性があって、コメとかは活発な性格をしている。
「怖がらなくても大丈夫。こちらは僕の妹のサリー、こちらはティナ様だよ」
優しく岩をさすってあげると、岩の中から温かい気配が僕の手に伝わってきた。
ゆっくりと震え始めた岩が、少しずつ姿を変え始めた。
そして――――
「「可愛い~!」」
二人が一緒に声を上げる。
そこにはコメが頭に乗った無骨で小さなゴーレムが現れた。
【はじめ……まして…………】
「初めまして」
【私……ノーム……】
「コメから話は聞いているよ」
【コメ……?】
【私の新しい名前~! これからはコメと呼びなさいよ~!】
またノームの頭をガツガツと突っつく。
「こらこら、コメ。あまり突っつくと痛がるでしょう?」
【大丈夫です! ノームは堅いから!】
まあ、見るからに堅そうだもんな。
今度は左手を伸ばしてコメを優しく撫でてあげると、気持ちよさそうに綺麗な小鳥の鳴き声をあげた。
「ノーム。もしよかったら、僕達の所に住まないかい? 他の精霊達も住んでいて、毎日美味しいご飯も食べられるんだ」
【美味しい……ごはん……】
「君が好きなモノがあれば、できるだけ用意するよ」
【ん……私…………】
【んもぉ! じれったいわね~!】
また突っつく。
【が、頑張る……あと……名前……欲しいです……】
「名前? コメみたいに?」
【あい……】
「分かった。じゃあ~」
土人形、ゴーレム、う~む。
「ムーちゃん」
「ん? サリー?」
後ろから「ムーちゃん」と聞こえてきて振り向いたら、岩の上から足をパタパタさせて、両手で顔を支えて笑顔でこちらを見つめていた。
「ムーちゃん! 可愛いから!」
「そっか。ムーちゃんはどうかな?」
【ムーちゃん……私、ムーちゃん……!】
「うん。よろしくね!」
こうしてまた新しい仲間ができた。
土の精霊ムーちゃん。
ロクに運んで貰おうとしたら土の人形状態だと意外にも重くて運べなかった。
そこでムーちゃんは姿を変えるといい――――まさか、僕達と同じ年頃の女の子に変身した。
最初はサリーの服装を真似て変身したけど、ベルン町に行くとすぐにメイドのお仕事に興味を持ち、ベルン領の道を作ってくれたり、メイドのお仕事を頑張ってくれた。
ムーちゃんが仲間となり、ベルン領には、火、水、風、土の四大精霊が住むことになったのだが、それがどれだけ凄いことなのか、その当時の僕にはわからなかった。
それにしても東からやってきた砂の波は一体…………。
――【お詫び】――
大変長らく更新を止めてしまいました。
メインストーリーが終わっているとはいえ、番外編を書きたいと思っていたので、これからゆっくりと更新していきます。
ここまで過去編になるので、次話からは、時系列からクラウドくんの赤ちゃんが出て来ると思います! ぜひお楽しみに~!
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