第181話 夏のプール②
「あれ? アレン?」
プールを眺めて固まっている弟の姿が。
「兄……さん…………」
「ど、どうしたの!?」
まるで石化の状態異常を喰らっているかのように固まっているアレン。
「す、す、す」
「す?」
「素晴らしぃ…………」
…………?
アレンの視線の先を見ると、そこには可愛らしいワンピース風の水着のソフィアさん。水着なので裾はもちろんとてつもなく短い。何というか、ある意味一番エロさを感じると言えるかも知れない。チラリズムとやらかな?
ソフィアさんは、うちにティナと一緒にプールでボール遊びをしていて、ティナは意外にも大胆にビキニタイプの水着だが、僕としては聖女カラーとして白を思い浮かべるのだが、ティナに好きな服装を選ばせると大体黒色を選択する。今回も黒色の水着だ。
「アレンも大変だね…………でもせっかくのプールだから楽しまないと、ソフィアさんが悲しんじゃうよ?」
「はっ! う、うん! い、行ってくりゅ!」
「行ってらっしゃい~」
ソフィアさんとティナの輪に入り、一緒にボール遊びをするアレンが可愛らしかった。
アトラクションゾーンではサリーが多くの子供達を従えてアトラクションに乗り込もうとしていた。
子供達というのは、お義父さんの孫だったり、ベルン家に仕えてくれている多くの組長クラスの方々の子供や孫だ。
すっかりサリーが先導していて、みんな仲良く遊んでいる。
サリーが選んだ水着はビキニなんだけど上部にフリルが付いていて可愛らしい水着がとても似合う。
そんな妹が少し怖がる子供に面白さを伝えて説得してみんなが楽しく遊べるようにしている。ずっと自由気ままに遊んでいると思っていたけど、気が付いたら子供達を先導するようになってとても嬉しくい思う。
「「「クラウド様~! 忠誠を誓います~! ひゃああああ~!」」」
……………………聞こえなかった事にしよう。
アトラクションやプールから見て正面入り口付近は走って遊べるような場所になっていて、アーシャとアリアさんがロスちゃん、ドラちゃんと遊んでいる。
ロスちゃんとドラちゃんは頭に可愛らしいリボンを付けていて、いつもの可愛さが10倍くらい増えている気がする。
アーシャは何というか、大胆過ぎるビキニ水着で、今回参加者の中で、最も布面積が少ない。
アリアさんは恥ずかしがっていて、ロングワンピース水着を選んでいるが、ソフィアさん同様にギリギリ隠れているのが、寧ろエロく感じるのは気のせいじゃないだろうと思う。
アーシャ達が遊んでいる傍では、大人達が集まっていて、母さんやお義母さん達、他参加者の女性達がビーチチェアに横たわって、大きなグラスに入ったジュースを楽しんでいた。
空から降っている温水が入らないように、基本的には真ん丸のカップだが、モチーフはロスちゃんらしくて、とても可愛い。ロスちゃんの耳の部分から伸びたストローで飲める感じだ。
母さんが選んだのはビキニで下部にフリルが付いているタイプで、頭には大きな帽子とサングラスを掛けている。
大人の魅力が凄く放たれている感じで、大人組の中では断トツに光り輝いているね。
プールの脇にはアトラクションの乗り物があり、そのプールには人は入れないようになっていてバナナボートに乗り込むと、噴射による高速移動が体験出来るアトラクションがある。
ワイルドな格好のエルドくんと、少し控えめなワンピース水着のミロさんが一緒にバナナボートに乗って楽しんでいる。
最近二人は仲が良いので、こういう時も一緒に過ごしているね。
あ、ミロさんはサリーと同じクラスの、サリーとアレンとティナを除けば、現状学園の最強魔法使いの一人だ。エルドくんが誘いたいとの事で、こうして参加して貰ったりしている。
プール内に美味しい焼きそばの匂いがふんわりと広がってくる。
プールの一角に作られた食事スペースで、サテライトから見つかった日本食のレシピを母さんが独自アレンジ開発を進めて、今年の夏――――つまり、この温水プールが開店と同時に販売の予定だ。
普通の食事よりも少し軽いが一回り安い値段の食事が売られる予定だ。
その代表格となる焼きそばの匂いに少し腹が空いたので、食事スペースに向かう。
「ん? ソフィアさんは?」
「そろそろアレンくんと二人っきりにしてあげようかなと~」
「そうか。アーシャとアリアさんももういいの?」
「小腹が空いたから、丁度クラウドと一緒に食べるわ」
「う、うん! 私も!」
僕が食事スペースに向かうと丁度3人が合流した形だ。
食事スペースは大きなテントが張られていて、温水雨は降ってこない。料理に温水雨が降ったら大変だからね。
でも足元には温水を感じられるようにと、テントに降りた温水雨を床に流し込んでいる。
「いらっしゃいませ!」
「ヤキソバを4つください!」
「かしこまりました!」
ちなみに、中での買い物では水着なので会計が出来ないので、全て遊び終えてから、温水プールを出るときに会計する仕組みを取っている。
最初は色々やり方を悩んだけど、全て申告制にすることにした。
例えば、ここで4人前を食べたら、出る時にヤキソバ4人前の料金も払いますと申告して貰うやり方だ。
嘘をついて払わない方法もあるんだけど…………ラウド商会からそれだけはやめておいた方がいいと告知をする予定でもあるのだ。
そんなこんなで、既に焼き始めている焼きそばが4人分運ばれてくる。
「お待たせしました。ヤキソバ4つでございます」
「ありがとう!」
一緒に頼んだブルーハワイと呼ばれている青色の
夏といえば、この飲み物って感じがするね!
これも全部ミナトさんがレシピを残してくれたおかげだね!
久しぶりの焼きそばは香ばしい特製タレの香りと風味でとても美味しく、野菜も沢山入っていて色んな味わいでスルスルと食べてしまった。
「ヤキソバ美味しい!」
アリアさんが満面の笑みを浮かべて声をあげた。
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