第178話 リバーシ大会予選開戦!

 二十日後。


 王都の広場には大勢の人々が集まっていた。


 その理由は、本日行られるイベントのためだ。そのイベントというのは――――





「今回参加してくださった参加者の皆様、ならびに応援に駆けつけてくださった観覧者の皆様、本日の『リバーシ・ラウド杯』の初めての大会に参加して頂き、誠にありがとうございます~!」


 広場だけでなく、その周囲にまでアレンの凛々しい声が響き渡る。


 タキシード姿のアレンくんに続いて、隣にドレス姿のソフィアさんが続ける。


「それでは、本日の予定表を発表します~! 最初は予選をそれぞれブロックで行って頂きます! ブロックは全部で64ブロックあり、総当たり戦になります! 各ブロックの成績上位者の2人が本戦に進める事が出来、本戦では128名がくじ引きによる完全ランダムで勝ち抜き戦になります! しかも、毎回くじ引きになりますので、次に当たる人はその時まで分かりません!」


「既に事前予選で勝ち抜いた640名様には、参加賞としてラウド商会で使える商品券を進呈させて頂きます!」


「本戦に進まれた128名の様はこの段階で入賞という事で、クテアブランドのブランド品もしくはラウド商会のオーダーメイド品を進呈させて頂きます! ただ、両方とも必要ないという方に限りましては、両品と同等のラウド商品券を進呈致しますので、好きな方を選んでください!」


 アレンくんとソフィアさんの阿吽の呼吸で続く司会に広場が歓声に包まれる。


「本戦の最終8名様に関しましては、全員に上位入賞としまして――――――『スロリ街の居住権利』を進呈致します!」


「「「「わあああああああああ!」」」」


 先程よりも一段と大きい歓声が起きる。


「さらにこの中から最終戦、つまり優勝者と準優勝者には、『スロリ街の一等地の居住権利及び豪邸』を進呈致します!」


「「「「すげぇ! わああああああああ!」」」」


「さらに優勝者には特別に、優勝後のエキシビション戦に参加する事が出来、そこで我らサリーちゃんと戦って頂きます! 5戦3勝制となりまして、もし勝利した場合、ベルン家より破格の待遇で最上級の就職を案内させて頂きます!」


「「「「うわあああああああ!」」」」


「では、サリーちゃん! 何か一言はありますか?」


 マイクを渡されるサリー。マイクと言っても全く意味なくて、ただコメ達が周囲に魔法で声を広げているだけなんだけどね。まあ、格好だけという感じだ。


「初めてのリバーシ大会に参加してくれて、みんなありがとう! もし私に勝てた者は、お兄ちゃんに挑戦する機会を与えるわ! お兄ちゃんに5戦3勝で勝ったら――――――」


「「「「勝ったら!?」」」」


「――――――彼氏にしてあげてもいいよ~!」


「「「「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ」」」」


 広場が熱狂に包まれる。


 サリーの彼氏枠となれば、とんでもない商品というか……それを商品にするサリーもサリーだが…………らしいと言えばらしいね。


 でもサリーの彼氏になりたいなら僕に勝ってからだね!


「では、これから予選開始します~!」


 ソフィアさんの声が響くと、それぞれのブロックから駒を置く音が響き渡った。



 今回リバーシの大会は、大会もあり、考慮時間は180秒与えらて、最初の10秒を越えた分は持ち時間180秒から減算していき、0秒になった時点で負けとなるので、180秒の持ち時間を使い切った場合、10秒指しとなる。


 最初の4つの駒は中央の4つの場所に置く事が出来て、それからはいつものリバーシのルールで進む。


 次から次へと対戦が進み、朝から始まった大会予選は昼になるまで予選が続いた。


 周囲には王都の多くの出店が出ていて、有名な店から、路地裏の名店、これから店を持つために出店を頑張っている店などが立ち並んでいる。


 出店も全てラウド商会で仕切っていて、これも王国からの契約の一つで、イベントを開いた時の全ての許可権利をラウド商会に渡している。これについて、何が違うのかというと、王国側から一切の口出しが出来ないという利点がある。


 こうやって王都の広場でイベントを開きます! と言った場合、王国側からは何も言えないというとんでもない権利だ。


 王国側から人材派遣の代わりに差し出してくれた権利はまだまだあるけど、その中でも大きな力も持つのがこの『催し物の自由及び管理権利』だ。


 集められた出店は全てこちらから指定したお店のみで、以前我々の商売をよそに裏で儲けようとした連中だったり、妨害しようとした商会に関わっている店などは全て却下にしている。


 わざわざ彼らと仲良くする理由もないからね。


 なので、僕からしたらわりと公平にうちと仲良く出来そうな方々を出店に選べて嬉しい。


 大会を応援したり、一目見ようと集まった人々で広場の周囲がごった返しているが、人々は楽しそうにイベントを眺めて堪能していた。


 それと大会の途中、中央ステージではクテアブランドの新作の発表だったりで、大会とは違う黄色い声援が飛んでいたりした。


 それから大会はスムーズに進み、遂に全ブロックの試合が終わり、各ブロックの成績上位者2名ずつ、128名が本戦に進む事になった。

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