第163話 新たな従魔達!
戦争も終わり、平和になったというのに、僕の前にはものすごい剣幕のふたり――――いや、二匹が睨み合っていた。
【白のくせに、先にご主人に出会うなんて!】
【ふっふん~! 黒なんかよりも私の方が偉い!】
【でも私が来たからには、もう白はいらないからね!】
【何を~! 黒はずっと捕まってていいよ!】
【にゃにを!】
そして、痴話げんかを始める二匹。
ふわふわ白い犬と、丸い頭の可愛らしい黒い
見た目はただの子犬子猫なんだけど、じゃれる度に周囲に轟音と爆風が荒れ狂う。
ただコロコロと転がっているだけなのに、どうしてこの世の終わりみたいな轟音が聞こえるのか……。
「こらっ! ロスちゃん!
僕の声に反応して、ぴょーと飛んで、爆速で走って来たふたり。
僕の右肩にロスちゃん、左肩にドラちゃんが乗る。
「二人とも喧嘩しちゃ駄目だってば! ほら! ここの地面がもうぐちゃぐちゃだよ!」
【ご主人! 悪いのは黒だよ!】
【違うもん! 白が悪いよ!】
【なんだとぉ~!】
【にゃにを~!】
ああ……どうしてこんなにいがみ合うのか…………元は
僕の新しい従魔となったドラちゃん。
ロスちゃんと知り合いのようで、お互いを色の白と黒と呼んでいる。
うちってクロがいるから黒って分かりにくいな……。
それはそうと、このドラちゃん、以前イレイザ先生に聞いた北にいるという『暴虐の魔王』こと、『ヒュドラ』だ。
そして、このドラちゃんの最も大きな秘密。
それは何と、ロスちゃんと元々は同じ体だった――――という事だ。
それについてはまた今度教えてくれるらしいが、元は同じ存在だというのに、ものすごく仲が悪い。
ちなみにドラちゃんが北に住んでいた理由は、ロスちゃんが南に住んでいたからの理由らしい。
いがみ合うふたりの頭を撫でてあげると、静かになる。こういう所の性格は似てるんだよな。
ドラちゃんについてだが、黒い竜を倒した跡から現れたナインが抱きかかえていた猫がドラちゃんだ。
リヴァイさん達がドラちゃんに挑戦した日。
戦いの後、リヴァイさんを死なない程度に痛めつけて、そこら辺に放り出したそうだ。
しかし、その後、ナインが襲撃してきて、『呪魔術』を使われてナインに捕まってしまったそうだ。
その後、ずっと封印されたまま時間が経過し、先日ドラちゃんの力を媒体にして黒い竜を作ったのが最後の黒い竜の正体だ。
助け出した瞬間は弱っていて眠っていたけど、ロスちゃんが魔力を分けてあげるとすぐに元気になった。
元気になってすぐに痴話げんかが始まって、とんでもない事になったけど……。
ふたりの喧嘩と止めて、ドラちゃんの事情を聞いて、ロスちゃんとの事情も聞いて、ドラちゃんは僕の従魔になってくれた。
ロスちゃんと同じく『災害級魔物』で、南の地獄の番犬ケルベロス、北の暴虐の魔王ヒュドラと呼ばれているらしい。
「ふたりとも! 今度痴話げんかしたら、お昼ご飯と、夕飯抜きだからね!」
【!? あ、あはは…………黒、一旦休戦……】
【同感だにゃ……】
さすがにご飯には弱いね!
これからふたり仲良く過ごして欲しいものだ。
◇
「お兄ちゃん~!」
サリーがぜひ来てほしいという事で、ベルン領の広い平原にやって来た。
「サリー、来て欲しいと言っていたけど、どうしたの?」
「うん! これを見て欲しいの!」
サリーは僕が預けていた金色に輝いている玉を見せる。
「以前渡した新しい魔石だね?」
「うん! 新しい力に目覚めたから見て欲しいの!」
「おお! 楽しみだ!」
「さあ! 出て来てー! 私の新しい
金色の玉が光り輝き、中から黒い霧が溢れ出て地面に集まる。
その中から小さな黒い龍が現れる。
「ぎゃーははは! 俺様
おお!? 普通に喋った!?
「世界を滅ぼ――――」
「うるさい!」
ベシッ!
小さい竜の頭を杖で叩くサリー。
「痛てぇ~! 何するんだよ! 俺様にこんなことしたらどうなるか――――」
ベシッ!
「ゆ、許さん! 喰らえ! ダークブ――――」
ベシッ!
「い、痛てぇ…………ゆ、許して…………」
「うんうん。私のペットらしくちゃんとしなさい! お兄ちゃんのロスちゃんみたいに可愛くするんだよ?」
「は、はあ!? 俺様が可愛くだと!?」
サリーが杖をあげる。
「ひい!? か、かしこまりました……」
「お兄ちゃん! 私にも新しいペットが出来たの!」
…………サリー。
僕はロスちゃん達にそんな事はしないよ…………。
「その子の名前はなに?」
「俺様の名は、デスp――――」
「ぷろちゃん」
「は?」
「ぷろちゃんか~可愛い名前だね!」
「うん!」
「いやいや! 俺様にはちゃんとした名前が――――」
その時、黒い竜から真っ黒い霧が周囲に拡散して、少しずつ白くなっていく。
「う、嘘だろう! これってまさか!?」
ぷろちゃんが何か一人でぶつぶつ言っているけど、大丈夫だろうか?
「うちのロスちゃん達と違って、喋れるなんて凄いね! サリーちゃんにピッタリな従魔だね!」
「うん! えへへ、お兄ちゃんありがとう!」
「お、俺様の暗黒力が神聖力に塗り替えられていくぅぅぅぅ!」
「あまりぷろちゃんをいじめないで、優しく飼うんだよ?」
「うん!」
「うわああああ!」
「ぷろちゃん、うるさい」
「はぃ……」
サリーが優しく(?)ぷろちゃんの頭を撫でてあげる。
ちょっと表情が怖いけど、まあいっか。
――――【四章終了】――――
日頃『転生してあらゆるモノに好かれながら異世界で好きな事をして生きて行く』を読んでくださる読者様、ありがとうございます!
遂に四章も終わりました!
四章は楽しんで頂けたでしょうか?
最後に新キャラも出ましたが、一体新キャラの正体とは……!? ぜひ正体を想像しながら次の章を楽しんで頂けたら幸いです!
次は――――――――最終章になります!
最終章(本当?)もよろしくお願いします!
あ、もし★がまだの方はぜひ★で応援のほど、よろしくお願いします!(レビューコメントも残してくださると御峰が変な踊りを踊りながら喜びます!)
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