第143話 二年目夏商品の開発
バイス町で更に一泊して、王国に帰って来た。
課外授業の使い方に疑問が残るものの、それも僕達のためを思ってイレイザ先生が気を使ってくれたと思うので感謝するばかりだ。
今回冬用のコートとバッグと帽子の『ホワイトロスちゃんセット』を一つ贈ろうと思う。
それにバルバロッサ辺境伯様に話して、馬車も買えるようにしてあげなくちゃね。
…………権力の行使と言われると反論出来ないかも知れないね。
僕達以外の生徒達も課外授業がメインとなって、五日のうち、二日学園、二日課外授業、一日休日を繰り返しているみたい。
早速アーシャにお願いして、ガロデアンテ辺境伯様に事情を説明と、販売の打診をお願いして、ティナにはバルバロッサ辺境伯様に、学園でお世話になっているイレイザ先生を紹介して、馬車の件を伝えて貰えるようにお願いした。
春が終わりの頃を迎えると、一か月も一緒に過ごしたこともあり、ようやく僕とロスちゃんは特殊科に受け入れられるようになり、最近ではみんな普通に接してくれるようになった。
ただ…………エルダーさんだけは、何としてもうちのベルン家に就職したいと毎日言い寄ってくる。
何となくアリアさんも最近は似た事を話していて、少し不安が募る。
まあ……アリアさんとエルダーさんだけならいいかも知れない。
宰相様からは全員だけはやめてくれと言われているからね。
二人くらいなら宰相様も怒りはいないと思う。
「クラウド、冬の商品はある程度準備出来たけど、夏と秋はどうする?」
「ん~夏は暑いからね。ミニスカート…………ん~」
「去年のミニスカートはとても売れ行きが良かったから、暑い季節にぴったりだったのかもね」
「夏はミニスカートだと涼しいよ~」
僕は女性じゃないからミニスカートの良さは分からない。
どちらかと言うなら、ミニスカートを着た女性を眺められるのが良いところか。
こうしてアーシャとティナの使用感を聞けると、ミニスカートを勧めて良かったと思う。
「お兄ちゃん」
サリーがおもむろに声をかけてくる。
「ミニスカートもいいんだけど、中にレギンスを履いているでしょう?」
「そうだね。履いてない方もいるけど…………女性は色々大変だろうからな」
「そうなの。だから思ったんだけど、レギンスを履かなくても良いミニスカートはないの?」
「レギンスを履かなくても良いミニスカート?」
「そうなのよ。お兄ちゃんが考えてくれたミニスカートは、成人した女性には好評だけど、幼い女の子たちは中々履けない気がするのよ」
「えっと、どうしてかな?」
「幼い子供って走り回るでしょう? ミニスカートだと思いっきり走れないから、レギンスを履いてたとしても少し恥ずかしいと思うの」
ミニスカートのまま思いっきり走ったら、中がまる見えになるからね。
「ん~そうだな。方法としては、ミニスカートに重力魔法をかけて、ひらひらさせないようにする?」
「それは駄目!」
意外にティナが食いついて来る。
「ミニスカートがひらひらしているのが可愛いんだから、重力魔法をかけてしまうと、良さが減ると思う!」
男としても、少しなびいているスカートが好きだから、言われた通り重力魔法をかけるのは一番良くないかな。
それならば、いっそのことスカートにしない選択肢はないかな?
向こうで流行っていた女性用履物を思い出してみる。
女性と言えば、確かにスカートだ。
ただ、それだけではない。
夏と言えば、海。
海で短いホットパンツなんてのがあったな。
「えっと、ホットパンツなんてどうだろう」
「「「ホットパンツ?」」」
紙に絵を描いて三人に見せる。
「これくらい裾を短くすれば、足もスッキリ見せる事が出来るし、夏にもぴったりだったり、この上にそのままスカートも穿けるからレギンスを履く必要がなくなるよね」
「「「!?」」」
三人は食い入るように絵を見つめる。
ホットパンツについて話し合うと、サリーがレギンスが必要ないという言葉に凄く力を入れていた。
女性って意外とレギンスって履きたくないのかな?
「裾部分はわざと太くして、ひらひらしないようにすれば、中も気にしなくていいからね」
「だからここが分厚くなっているのね?」
僕が描いた絵に、アーシャが追加の言葉を入れ込む。
「ただそこは人によって太さが違うから、決まった大きさにするより、肌に優しい素材にして伸び縮み出来る素材があれば一番良いかも知れない」
「うんうん」
「お兄ちゃん、一つ聞いてもいい?」
「いいよ?」
サリーは真剣な表情で、僕を見つめて話す。
「お兄ちゃんって、実は太もも大好きなの?」
ええええ!?
あまり考えた事なかったけど…………。
女性を見るとき、真っ先に視線が行くのは、足かも知れないね。
◇
春が終わる直前。
ラウド商会から王国に大きな宣伝がされる。
『近日中に女性用ホットパンツを販売致します! 販売前の週の休日に各町にて店員による商品着用が見られます!』
ホットパンツという言葉は知らなくても、王都の全ての女性はその言葉に魅力を感じずにはいられなかった。
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