第140話 冬用服の素材

 ロスちゃん帽子の更なる開発を進め、帽子だけでなく同じ色合いの冬用コートと高級バッグの開発を進める。


 高級バッグは今までのクロ達の素材ではなく、ベルン領で狩れる熊さんこと、ブラックベアの皮で新しい雰囲気のバッグが作れた。


 クロ達の鱗のように丈夫な物ではないけれど、ホワイトラビットという魔物のふわふわした皮を使うと質感がお互い上昇する不思議な効果があった。


 実はロスちゃん帽子もこの組み合わせだったりする。


 ある程度生産が安定してきたけど、ホワイトラビット生息地が王国内にない。王国から北側にあるシレル王国に生息しているので、そこから輸入するのが一番だけど、あまり量が取れないみたい。


 うちの王国とシレル王国はそれほど仲が良い訳でもなく、西側に魔族がいたからまだ繋がっていただけで、魔族問題が解決した今は、少し険悪な雰囲気になっている。


 そんな事もあり、イレイザ先生に相談してみた。


「ん~、クラウドくんならこっそり向こうに行って、狩って来たらいいんじゃない? ホワイトラビットって捕まえるのがとても難しいけど、君なら余裕だと思うわ」


「それって不法侵入になりませんか?」


「君はまだ・・学園生徒として行けるから大丈夫わよ? 学園生徒証を見せれば入れてくれるわよ?」


「えっ? どうして生徒は行けるんですか?」


「生徒はまだ国に属していないからね。卒業――――つまり、成人になった時に、ディアリエズ王国ではなく自分の所の王国に属してくれるかも知れないでしょう? だから生徒達は割と大歓迎なの。それに――――」


「それに?」


 イレイザ先生がジト目になる。


「どこかの誰かさんのおかげで、バビロン学園の卒業生が全員・・王国に属さなかった事が世界に広まっているからね。色んな王国からオファーの嵐だと思うわよ」


「あ、あはは…………そ、そんなに、大きい問題になっているんですね…………」


「ディアリエズ王国史上、最も大きな事件と言っても過言ではないわ。それがあと4年続くからね~」


「え!? 4年続くんですか!?」


「クラウドくんが在学している3年間と、卒業してもクラウドくんを知っている二年生と一年生がいるからね」


「…………い、いや、あれはヴィアシル先輩が扇動したからだと……思うんですけど……」


「ふふっ、そう思うならそれでもいいわ。まあ、そんな事もあって、今なら、かの王国は大歓迎よ? 寧ろ次の課外授業をあの王国にする?」


「え!? 出来るんですか!?」


「出来るわよ? クラウドくんが言えば、何でも出来るし、学園の場所をベルン領に変えると言えば、変えれるわよ?」


「変えませんよ!!」


 イレイザ先生がとんでもない事を話しているけど、ニヤニヤしながらいっそのこと向こうに学園立てちゃう? と言われて全力で拒否しておいた。


 学園長と同じ事言わないでくださいよ……。


 そんなこんなで、実力があるパーティーで隠れた目的を持った課外授業が決まった。


 メンバーは僕、アーシャ、アリアさんのパーティー。


 魔法科からサリー、ティナ、アレンのパーティー。


 混合パーティーとして、エルドくんとエルダーさんと魔法科からサリーの弟子と言われているミロさんが参加した。


 引率はもちろんイレイザ先生。


 なんと二泊三日の旅になる。


 本来なら往復に十日以上かかるんだけど、そこはスロリ馬車二号で許可が出た。


 一号でもいいんだけど、どの道召喚で荷物を運ばせるから二号でより快適な旅を提供した。


「クラウドくん」


「はい?」


 イレイザ先生がおねだりポーズをする。


 大人の美が目立つイレイザ先生のおねだりポーズは、ティナ達と違うとんでもない破壊力がある。


「私にもスロリ馬車一台売ってくれない?」


「あはは……それならバルバロッサ辺境伯様を通してくれれば、すぐに買えますよ?」


「あら、もう注文したんだけど、五年待ちなのよ」


「五年!?」


 全く持って初耳だ。


「バルバロッサ辺境伯様からスロリ馬車よりもトイレ作りに力を入れるから、スロリ馬車は待ち状態になっているのよ。どうしてクラウドくんの方が知らないのかしら?」


 全く知らなかった…………。


「分かりました。今度辺境伯様に聞いて見ます~」


「ふふっ、助かるわ~」


 イレイザ先生が僕の腕に絡んでくる。


「っ! クラウドがデレているわ!」


 長椅子の真ん中に僕と両方にティナとイレイザ先生が座っていて、イレイザ先生の逆側に座っていたティナも腕に絡んでくる。


 片腕に豊満なモノが当たり、もう片方の腕に柔らかいモノが当たる。


「あ~お兄ちゃんがデレデレだ~」


「ち、違うよ! 二人とも、くっつきすぎだよ!」


 二人をのける事も出来ず、アタフタしてみると、ますます腕に柔らかいモノが当たる。


 更にティナだけでなく、イレイザ先生も最近流行りのミニスカートを穿いている。


 二人の綺麗な足と、向かえに座っているサリーの可愛らしい足と太ももで目のやり場に困り果てた。


 何となく、ここに乗っていない二台目に乗っているアーシャ達の視線も刺さっている気がする。

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