第127話 ミニスカート

 毎日学園の訓練を行いつつも、夕方からはティナと母さんに夕飯作りをお願いして、僕はアーシャと一緒に毎日商品開発に勤しんでいる。


 リビングで、新しい商品の話を繰り広げていると、サリーも興味あるようで良く一緒に参加して意見を出してくれる。


 時には、アレンも混ざるけど、最初はファッションの事は全く興味がなかったアレンだが……。


 アーシャから「アレンくん。ソフィアさんにこういう服着て欲しいとか考えた事はない? ソフィアさんなら何でも似合うかも知れないけど、アレンくんの好みの服も簡単に作れるんだよ?」と話すと、これがまた鶴の一声だったらしく、アレンもどんどん意見を出してくれるようになった。


 …………アレン。まさか太もも好きだとは思わなかったよ。



 この世界の衣服事情は、向こうの海外の中世時代によく似ている。


 本で読んだ昔のフランスの服と言えば、簡単に想像がつくだろうか。


 そこで、アーシャからティナと自分に着て欲しい服があったら、遠慮せず言って欲しいと言われたので、自分が理想だと思う服は何だろうと考えた。


 そこで着目したのが、スカートである。


 この世界のスカートは基本的に長い。


 バビロン学園もそうだけど、戦いの衣装は基本的にズボンになっていたり、ロングスカートになっている。


 そこで、動きやすい服装として『裾の短いスカート』を思い付いた。


 思い付いたというか、理想と言われたら思い付いたのがミニスカートだった。


「お兄ちゃん……いくら何でも裾が短すぎるわよ?」


 と、サリーがジト目で見つめてくる。


「う~ん、サリーもこういうスカートが似合うと思うんだよね。多分三人の中なら、サリーが一番似合いそうなんだけどな」


「アーシャちゃん! 明日急遽試作を作ってちょうだい!」


「ふふふっ、はいはい」


 目をキラキラさせながら、僕がデザインしたミニスカートを食い入るように見つめるサリー。


「アーシャ。これはただ僕が思った感じだけど、着心地は着た感触で色々変えられると思う。ここをこうしたりするとシワ防止にもなるんじゃないかな?」


「折り目を入れる……なるほど! わざと綺麗な折り目を全体的に入れる事で、統一感が生まれて座ってもシワが気にならないのね!?」


 それからアーシャとサリーと色々案を出しながら、明日試作は全てミニスカートになるのが決定した。




 次の日。


 いつも通り訓練を終えて、僕達が帰って来ると待ってましたと言わんばかりに、母さんが大量のスカート持って来た。


「クーくん? こういう……何と言うか…………えっちいのが好きなの?」


「す、好きというか、スカートで足を見せる事で、女性の魅力を簡単に伝えられると思うから、気付いたらこういうスカートがいいんじゃないかなと思っただけだよ!」


 母さんもジト目で見てくる。


「今日はティナちゃんも試着だろうから、料理はメイド達にお願いしているからね~」


「ん? 母さんは?」


「あら、私も着るに決まっているでしょう!」


「母さんまで!?」


「あら、年増としまにはこういう服は着させてくれないのかしら?」


「いや、父さんには刺激が強いと思って」


「ふふふっ、それもいいわね」


 ああ……父さんにも一波乱ありそうだな。


 そんなやり取りをしていると、アレンがソフィアさんも連れて来て、僕らの屋敷で急遽、ファッションショーが開かれる事になった。




 ◇




 最初は母さん。


 落ち着いた雰囲気の紺色の膝までくるスカートで、膝から下に綺麗な足が大人の魅力を見せる。


 一緒に眺めている父さんの顔が真っ赤になっているのが印象的だ。



 二人目はサリー。


 サリーは膝から上に五センチのスカートで、母さん似で元々美人なのだけれど、まだ幼いのに、スカートの下に伸びている太ももは、彼女の可愛らしさを数倍にも引き上げていた。


 本人はこういう短いスカートは初めてで、ものすごく抵抗感があったようだけど、少しずつ慣れて、みんなから拍手を貰うと楽しそうにしていた。


 中が見えないか、とても気になっているそうだ。



 三人目はソフィアさん。


 純白の真っ白なワンピース型のスカートで、長さは母さん同様膝までをチョイス。


 王都で最も美人として有名な彼女は、純白色がとてもお似合いで、一度この姿を見た人は一生忘れないと思う。


 アレンは、興奮を通り越して、固まって昇天していた。



 四人目はアーシャ。


 アーシャは真っ赤な生地に大きな青い花柄のスカートを選択、長さは膝から五センチで太ももの下部がチラッと見える。

 

 王国北側随一の美人として有名な彼女は、妖艶な雰囲気をかもし出して大人な魅力を見せてくれた。


 僕なんかの婚約者にしておくには、本当に勿体ない女性だと思ってしまった。


「クラウド? 私はクラウド以外は嫌だからね?」


 …………どうやら、また心を読まれたらしい。



 最後はティナ。


 恐らく聖女であるティナは、ソフィアさんと似た系統なのかなと思っていた。


 しかし、俺の予想は大きく外れる。


 恥ずかしそうに出て来た彼女は、真っ黒の薄い衣装で、大きな花の飾り物が飾られている衣装に、スカートは僕が全力で考え抜いたフリフリのスカートで膝から上に五センチはあるミニスカートだ。


 真っ黒いミニスカートから伸びている白い太ももと足は、僕が想像していた以上の破壊力を持っていた。


 何故なら、その後、記憶がないからである。

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