第163話 ふたりはエンゼルス。-G-
ひたすら突っ走っていく〝フーター〟と〝
五色の古代獣の最後の一匹、〝シルバー・プリンセス〟が待つ部屋は、正方形のレンガづくりの部屋だった。上部に行くにしたがって狭くなっている角錐。つまり、ピラミッドの様な形になっている。
扉からまっすぐと伸びている赤じゅうたんの先に、一段高い玉座があり、その周囲には、細長いツボがならんでいる。そして中央にあるきらびやかな椅子に座るあるじは、侵入者の〝フーター〟と〝
『フシャーーーーーーーーーー!!』
白銀の身体に、全身に斑点がある白くて巨大な猫、いやヒョウか。
全身の毛を大きく逆立て、二本のしっぽがピンと上に伸びている。
〝シルバー・プリンセス〟は、エジプトの女神バステトと、日本の妖怪〝猫又〟。ふたつのモチーフを持ち合わせていたボスだった。
〝シルバー・プリンセス〟は、しなやかな二本のしっぽをまるでムチのごとくあやつって振り回す。
ガシャン! ガシャ! ガシャン!!
二本のしっぽは、玉座のまわりに並んだツボを破壊していく。
するとツボから、緑色と赤色の光の玉が現れて、糸を引きながら〝シルバー・プリンセス〟へと吸収されていった。
「〝フーター〟〝ロンリー〟I'll run away together!」
(〝フーター〟〝ロンリー〟逃げるよ!)
え? どういうこと?
「〝ロンリー〟!
「え? あ、うん」
俺は、
「Hurry up with both of us!」
(ふたりとも、急いで!)
その直後だった。
〝シルバー・プリンセス〟は、二本のしっぽをピンと立てると、くるくると一本に束ねていった。そしてそのしっぽの先に魔法陣が現れて、緑色に発光する正八面体と、赤色に発光する正四面体が「ズズズズ……」と現れた。
風の精霊シルフィードと、炎の精霊サラマンダーだ。
〝シルバー・プリンセス〟が束ねたしっぽを下ろした瞬間、シルフィードとサラマンダーは合体して、円形の黄色い発光体に変化する。そして、
ぼっがーーーーーん!
黄色い発光体は物凄いスピードで部屋の真ん中に着弾して、瞬時に部屋いっぱいに広がった。
風の精霊と、炎の精霊、二つの精霊を合体させる融合精霊〝アトミック〟だ。
あぶなかった。
こんなの、事前に知らなきゃ避けようが無い。
『来た来た! 初見殺しw』
『でも、さすがに対応してるな』
『残念w』
『そりゃそうだろ』
『
掲示板が、シルバー・プリンセスの無体な攻撃に盛り上がっている。
(知ってるなら、先に教えてくれたってもいいのに……)
「Only silver cats are sloppy! I want to use it too.」
(銀猫だけズルいよ! わたしもアレ使ってみたい)
そっか……やっぱり、
俺は翻訳ツールを使って、
「Force, pass this. Please equip it.」
(フォース、これを渡します。装備してください)
「what's this? AHA! strange thing!」
(なにこれ? アハハッ、変なの!)
無理もない。そのアイテムは、十頭身くらいの、やたらと背が高い、
そのエンゼルスは、ひとりは右手、もうひとりは左手に棍棒を持って、フルスイングで振りぬいている。
アイテムの名前は、オォタニー・サン・ピアス。
太陽神に遣える
このピアスを装備すると、あるスキルが解放できる。
スキル名は〝二刀流〟。
装備ができるのは、
片手剣と小型の盾を装備してオールマイティに立ち回れる〝ライトフェンサー〟。
投擲も可能な片手斧を装備し、薬草などのアイテムや、〝ニトロの瓶〟などのトラップアイテムにボーナス補正がかかる、自然の戦士〝トマホークレンジャー〟。
スナイパーライフルを装備し、多種多様な弾丸を駆使して戦局をコントロールする、〝ロングレンジスナイパー〟。
槍と大盾と重装の鎧を装備して、圧倒的なスタミナと防御力で、パーティーの前線で壁となる〝ランスガーディアン〟。
そして、神具を装備し、攻撃によって敵の魔力を吸収して強力な精霊を使徒する〝ダンスシャーマン〟。
〝ライトフェンサー〟は、片手剣の二刀流。
〝トマホークレンジャー〟は、片手斧の二刀流。
〝ロングレンジスナイパー〟は、二丁ライフル。
〝ランスガーディアン〟は、盾の二つ持ち。
そして〝ダンスシャーマン〟は、神具の二刀流をすることで、破滅的な威力をもつ融合精霊を生み出せる。
初期クラスの利便性を飛躍的に上げる、今回のシリーズの目玉アイテムだった。
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