幕間劇
第159話 ある女性の独白。
私はどこにでもいる普通の少女だった。
背がちょっと……イヤかなり低いくらいで、あとはもう、本当にどこにでもいる、普通の女の子だった。勉強もスポーツも音楽も図画工作もぜーんぶ標準偏差の域を出ない。平均から大きく逸脱しているのは、本当に身長くらいのものだった。
そんな私には、小学校のころからの友人がいる。
結構な天然で、ヘンテコな空想壁があるけど、だけど誰にでもやさしくて、そして何よりとても絵が上手な女の子。
今は、両親が離婚して、
キャリアウーマンのママと、少女と見違えるような美しいパパ。とっても仲良しな夫婦だった。
とりたてて特長のない私にとって、キラキラと輝いている
心からうらやましい。そう、思っていた。
でも、一番うらやましかったのは、ふたりに弟がいたこと。
ひとりっ子だった私は、それがとてもとてもうらやましくて、しょっちゅう
ゲームをやったり、絵を描いたり、近所の公園でボール遊びをしたり。そんな遊びの中心には、必ず
まだ幼稚園の
私と
勝負事となると、とにかく本気になる
そして負けると、
いつも手加減して
姉妹でもこんなに性格がちがうものなの? って、ちょっと驚いたけど、喜怒哀楽がハッキリしていている
キラキラした姉妹と、カワイイ弟くん、そして仲むつまじいパパとママ。
そして、このときは、この幸せな生活がずっとつづく。そう思っていた。
そう、思っていたのに……。
忘れもしない夏休みの最後の日。
最後まで残しておいた自由研究を、合同でやることにした私と
「おねーちゃんは絵が上手だねえ」
「お友達はしっかりした文章を書く」
私が文章を書き終わって、
いいことを思いついたときの、
「宿題が終わったらー、
とっとと宿題をやっつけて、バースデーカードづくりをはじめなきゃ! だって私も、
どんなバースデーカードをつくろうか。私と
「
公園の外に飛び出たボールを追いかけて、車にはねられたらしい。
私たちが血相をかえて公園に行くと、ぐったりと倒れた
「カワイイ弟をたすけるのが、おねーさんのシメイなのに……フーちゃんは、フーちゃんは、おねーさんシッカクなのだ!」
・
・
・
食べ物も受け付けなくなって、食べてははいての繰り返し。
仲が良かった両親もこの時から少しずつ険悪になって、
それからすぐに、おばあちゃんも亡くなって、にぎやかだった
私たち漫研メンバーが入り浸ったのはそのころだ。
私たちは、
そして、
まるで取りつかれたようにネームを書きまくっていた
そうしてこれが最後と趣味全開で描いた『信長のおねーさん』が、新人編集者の
なぜだろう。
運気が上向きになるときは、まるで上昇気流のようにステキな出来事がまきおこる。ずっと険悪だった
とりあえず、籍は外したままだけど、また一緒に暮らすらしい。
アメリカから帰国した
女神のように美しい
デビューした
いくら女神のように美しくても、
大学で催眠療法を専攻していた私は、成り行きで
でも、私なんかより遥かに
私は、この
私の名前は
どこにでもいる、これと言って特徴のない普通の女だ。
身長が低すぎる以外は。
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