第156話 なごやかなゼロ距離朝ごはん。
FUTAHOさんと
どこにお散歩させよう……。
昨日は
ちょっともったいないけど『ランダム』でいっか……。
俺は、力強くドラミングをしながら素材探しへと旅立っていく〝ジュンイチロウ〟を見送ると、2階のリビングにあがって、そのままバスルームに移動した。
シャワーをあびないと……もう完全に汗が冷え切っている。俺はべたつくシャツとハーフパンツ、それから下着をぬぎさって、ランドリーの中に入れるとパパっと手早くシャワーをあびた。
リビングに戻ると、ダイニングには母さんがいた。
「おはよう、母さん」
「あらー、おはよう、
「今、出かけたところ。朝飯作るの手伝うよ」
「あらー、いつも悪いわねえ」
手伝うと言っても、俺がやるのは飲み物を淹れることと、トーストにバターをぬることだけだ。
俺は、パントリーからトーストを持ってくると、冷蔵庫を開けてバターを取り出す。
そしてバターナイフで人数分のバターを切り落とすと、レンジで10秒だけあたためる。
チン!
程よく柔らかくなったバターを、父さん、母さん、ママ、
その間に母さんは、卵を8つ割って(うち5つは白身をとりわけて)、オリーブオイルで、4人分の黄身の色が強めのオムレツと、パパ専用の、100%白身のオムレツを焼き上げる。
そして俺がアイスハーブティーとコーヒーを淹れているあいだに、3階からパパとママと父さん、1階から
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきまーす」
朝ごはんは、みんなで食べる。(
一家団欒。なんというか、かなり特殊な家庭環境だけど、俺にとっては日常だ。
「! このアイスハーブティーすごく美味しいわね」
「でしょでしょー! スーちゃん、アイスハーブティー淹れるのすっごく上手なのー。すごいよねー」
ママがおどろくと、
「昨日、暑かったからさ、試しにアイスにしたんだけど、
俺は、
「やっぱりー! ムーちゃんも絶対美味しいって言うと思ったの―!」
「
「へー。そんなに美味しいんだ」
「
「はい。もちろんです!」
去年の夏休み最後の日、俺の誕生日。突然訪れたこのややこしい二世帯同居生活に、最初はかなりとまどっていたけど、この9か月間で、もう完全になじんでいた。
そして、遠くの町で就職して、
(就職より先に
なんだかややこしい家庭環境だし、付き合っているのに、
そして、このときは、この幸せな生活がずっとつづく。そう思っていた。
そう、思っていたんだ……。
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