第150話 ゼロ距離家族へのかくしごと。
俺と
「今日は暑かったから、そうめんにしたの。物足りなかったら、炊き込みご飯も炊いてあるから」
「はっはっは。
母さんのそばで、食器をならべているのはパパだった。
俺は、思ったことをそのまま言った。
「あれ?
「編集部との打ち合わせに時間がかかったみたい」
言ったのはママだった。ママは椅子をひいて座りながら話をつづける。
「さっき駅についたって連絡があったから、そろそろ帰ってくるはずよ」
「ただいまー」
玄関から、
「ごめんなさいー。お母さん。お夕飯の支度お手伝いできなくってー」
「平気、平気、今日は暑いし、やる気でないから、そうめんと炊き込みご飯で手抜きしちゃったの」
「そんなー、手抜きだなんて、わたしお母さんの炊き込みご飯、大好きですー」
そう言うと、
「お父さん! いつまでゲームやっているの!!」
「わ、わかったよ……すぐいく……」
最後に、ぴしゃりとママにしかりつけられた父さんがswitchをスリープモードにしてあわててテーブルについた。
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
みんな、いっせいにそうめんへと箸をのばす。
「やっぱり、おそうめんにはミョウガが合うのー」
「いやー、夏って感じだねー」
「まだ5月なのに先が思いやられるわ……」
「まだまだ、たくさんあるから、どんどん食べてね」
ぱっちぃーーーーーーーーん! ……カラン。
「ァうち(>_<)」
「おっと!
パパの必殺技、目にもとまらぬ音速しっぺだ。
パパは、お皿に山盛りになった赤紫色の野菜を冷蔵庫から取り出すと、
「
と、自慢の胸筋をピクピクとヒクつかせながらニッコリと微笑んだ。
「フーちゃん苦いのキライ! ごちそうさまでした!!」
「もう、本当に
ママがため息交じりにつぶやくと、パパがアゴをさすりながらつぶやいた。
「ふうむ……誰に似たんだろうね」
「あなた以外に考えられないでしょ!!」
うん。今はこけしヘアーのマッチョだから見る影もないけど、パパって若いころは
「というかパパ、なんで大皿一杯にミョウガを刻んでるのよ。薬味の量じゃないでしょう?」
「はっはっは、お母さんに手伝いを頼まれてね、張り切って刻みすぎてしまったのだよ」
「……アナタっていつもそう。無計画にも程があるわよ!」
「なんだとぅ」
「なによ!」
一発触発のパパとママがにらみ合うなか、
「わぁ。今日はパパがお母さんを手伝ってくれたんだー。ありがとー」
と、
「美味しいー。こんな贅沢、滅多にあじわえないのー。パパのおかげだよー」
「はっはっは、
パパがたくましすぎる胸を張る。
「あとー、ミョウガはバターソテーにすると美味しいって、朝の番組で言ってたのー。明日のお弁当にピッタリじゃないかなー」
「あら、そんな食べ方あるの? さすが
母さんのほがらかな笑顔に、
「いやあー、それほどでもー?」
さすが
そう、今まで通りの一家団欒だ。俺と
学校で秘密にするのはモチロン、家族に知られてしまうのも、なんというか気まずかった。
とりあえず、俺が高校卒業するまでは、そうしたほうがいい。俺と
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