第132話 ローカロリーな海老しんじょと、ヘビーなひきこもり。
――――― なんで、そこまでして外に出たくないんですか? ―――――
俺は、喉元まで出かかりそうになったその言葉をぐっと飲みこんだ。そして、
「わかりました。じゃあ、いつものように、〝
「りょーかいのすけ!」
「いつも、ありがとうございます。めっちゃ助かります。あの2つのアイテム素材は、どうしても不足気味になっちゃうんで……」
ウソだ。素材はどっちも十二分に足りている。
「まっかせなさーい! フーちゃんは、スーちゃんの頼れるおねーさんなのだ」
でも、無邪気なドヤ顔をみせる
「本当、いつも助かります。俺ももっと
「そんなことないよ? スーちゃんは、とっても頼りになる弟君なのだ。今日は、スーちゃんの陰陽導師がいなかったから、トカゲのぬっ殺しはダブルオーバーキルどまりだったもん。
フーちゃん、スーちゃんがいないとトリプルオーバーキルでぬっ殺せないもん。
だからとっても頼りにしてるのだ! スーちゃんは、フーちゃんの自慢の弟君なのだ!!」
「そ、そうですか……うれしいです」
ウソだ。俺は悔しかった。
俺は
確かに俺はゲームの中の陰陽導師の〝ロンリー〟として、つまり、カリスマゲームプレイヤー〝フーター〟のお役になら立てていると思う。
そして、
でも、結局のところ、
それが、とんでもなく悔しくって切なかった。
リビングから、母さんの声が聞こえてくる。
「
あれ? もうそんな時間?
母さんの後に、
「今日は海老しんじょを作ってみたのー。
父さんの声も聞こえてくる。
「へえー、おいしそうだねぇ。でも、これ
父さんの質問に、パパが答える。
「はっはっは。揚げているならともかく、蒸した海老しんじょなら平気だよ」
そしてふたたび、
「そーなのー。これなら、フーちゃんも気兼ねなく、たくさん食べられるかなっと思ってー」
最後に、我が家のカーストの最上位に君臨する、ママのひときわ大きな声が聞こえてくる。
「
せっかくのお料理が覚めちゃうでしょう!!」
「りょーかいのすけ!」
「りょーかいのすけ!」
俺と
「海老しんじょ♪ 海老しんじょ♪ 海老海老スリスリ海老しんじょ♪」
俺は、そんな
ぼっちの引きこもり属性の俺が言うのもなんだけど、
FUTAHOという、別人格にならないと、家から一歩も出られないなんて、ちょっと、いやとんでもなく異常だ。
ヘビー級のひきこもりだ。
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