第128話 100パーセントのオリジナル。
コロちゃんを乗せたマイクロバスが見えなくなったあと、俺は
「じゃ、俺たちも帰ろっか」
返事がない。
「……
「……え? あ、ゴメンゴメン! そんじゃ、アタシたちも帰ろっか!」
「帰り、俺んち寄るだろ?
「え、えーと……ゴメン! 今日はそのまま帰るよ。ゴールデンウィーク明けに、
「『ちょ、やめるでござる!』のネーム?」
「ううん、新作! なんだか面白そうなストーリーが降ってきたの。だからね、すぐにでもネームにとりかかりたいの!」
俺は、興味津々で聞いてみた。
「へえ、どんな話?」
「そ、それは……その……ヒミツ!」
そう言うと、
「…………」
「…………」
なんだか、会話が続かない。
俺は、無言のまま、
俺が、
「アリガトウゴザイマシタ」
料金所の無機質なアナウンスとともに、
「やっぱり、やっぱり……さ、『信長のおねーさん』のスピンオフじゃない、『はなちる別冊』じゃない、100パーセント、アタシのオリジナルな作品で『はなちる』の本誌掲載ねらいたいんだよね!」
「だって、アタシはまだ半人前だもん。
「そっか、がんばれよ」
「うん」
俺たちは地上に出た。もうずいぶんと傾いた太陽がまぶしい。
「じゃあね。
「ああ……」
俺は
逆光のなか、大急ぎで家に帰る
チャンスの女神は前髪しかない。
どこで聞いたか忘れちゃったけど、そんな珍妙な髪型の女神が登場するヘンテコりんなことわざが、俺の頭をよぎっていた。
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