第126話 ぺろぺろゼロ距離密着攻撃と、経験ゼロのお洋服。
「でも、いーなーコロちゃんは、指が長くて細くって」
「そ、そんな……」
おかげでコロちゃんはずっと頬をそめたままだ。
「コロちゃん、手、だして!」
「え? こ、こう……ですか?」
コロちゃんは、言われるまま右の手のひらを差し出すと、
「わあ、やっぱり指ながーい。そしてほそーい。いーなー」
「…………」
コロちゃんは、言葉が出せないまま、うつむいてしまっている。
わかる! わかるよコロちゃん!
だって、今まさにふれあっているその手は、直前に、
俺は、無防備なスキンシップの連続攻撃でHPが一桁になっているコロちゃんを見ながら、そのウブで甘酸っぱいリアクションで胸がいっぱいになってしまい、フライドポテトを半分近く、
有名なハンバーガーチェーンから出た後も、コロちゃんと
ふたりは、おそろいのお魚ヘアピンを、ピンクと水色の色違いでそろえて、お互いにプレゼントしあっている。
コロちゃんはもちろん〝
「あと、おすすめの店はー」
雑貨屋さんを出た
「あ、あの……ぼく、行ってみたいお店があるんです」
と、コロちゃんが口をはさんだ。
「え? どこどこ?」
「そ、その……洋服屋さんなんですけど……どうしても買いたい服があって……そ、その
そう言って、コロちゃんが案内してくれたお店は、ロリータ服の専門店だった。
・
・
・
「わー! おふたりとも、とっっっっっっっても、お似合いですぅ!」
店員さんが、いかにもわざとらしい、やたらとテンションとオクターブの高い裏声で、
コロちゃんは、顔を真っ赤にしてテレテレとはにかんでいる。まんざらでもなさそうだ。でも
「た、確かにコロちゃんにはすっごく似合ってるけど、アタシには似合わなくない??」
って、ガチで恥ずかしそうだ。
「そんなことないです!! とっても似合っていますよ!」
コロちゃんは、うっとりした顔で、まるでお人形さんみたいな恰好をした
うん。ハンバーガーチェーンにいた時とは、完全に立場が逆転している。
「そ、そう? ……アタシ、この手の服のことは全然詳しくないから、ちょっとわかんないよ。ガラじゃないって言うか……」
確かに
制服以外でスカートなんかめったにはかない。こんなフリルいっぱいのお洋服を着ているところなんて、文化祭のメイドコスプレの時しか見たことがない。
「そんなぁ……とっても似合っていますよ、
「え……? ええっと……う、うん。まあ、悪くないんじゃないかな?」
俺はいきなりコロちゃんに感想をふられて、返答にとまどった。そこに目ざとく気が付いた
「ホントにぃ?
「ほ、ホントに似合ってるよ!! た、ただ……」
「ただ?」
「か、可愛すぎて、おどろいただけだよ」
「え?」
「え?」
……しまった。うっかり本音がでた。
「
すみませーん! 店員さん! この服、どっちも買います!!」
コロちゃんは、喜び勇んで小さなサコッシュから伝家の宝刀、〝
コロちゃんが大喜びする中、
「ええ! コ、コロちゃん、こんな高い服、買ってもらうなんて気まずすぎるよ!」
慌てる
「あ、この服、着て帰りますね?」
「ええ? ちょ、ちょっとコロちゃん??」
「かしこまりましたー!」
戸惑う
「ありがとうございましたー!」
俺たちは、店員さんの、ほがらかな挨拶を背中に受けて店を出た。
「う、やっぱり、ちょっと、いやかなり恥ずかしいかも……」
気慣れない、水色のふわっふわの甘めロリータ服を着た
「大丈夫です……
そう言うと、ピンクのふわっふわの甘目ロリータ服を着たコロちゃんは、そっと手をさしだした。
「
「そ、そうだね!
そう言うと、
ふわっふわのあまっあまのロリータ服を着た、まるでお人形さんのような
非日常、浮世離れした圧倒的な存在感の
そして、合計8袋に増加した洋服がパンパンにはいった袋を持ってヘコヘコとついてくる、俺の存在感は完全にゼロになっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます