第125話 知識ゼロのファストフード。
オーバーオールのボーイッシュカワイイ
ふたりは、道行く人たちの視線を一身に集めている。
そりゃそうだ。となり街までカワイイと評判が広がっている美少女と、その美少女が太鼓判を押す清楚カワイイ男の娘のツーショットだ。
カワイイの相乗効果。その効果は絶大だ。
そして、そのカワイイオーラのおかげで、後ろからヘコヘコとついてきている荷物持ちの俺にはだれも注目していない。完全にアウトオブ眼中だ。(おかげでめっちゃ気が楽だ)
「お昼、ハンバーガーでいい?」
「いいよ」
俺は秒で返事をした。いいも悪いもない。こちとら、おごってもらう身分なんだもの。
「
「どうしたの? コロちゃん??」
「遠慮しないで、俺と一緒に
「えっと……入れないんじゃないですか?」
「は?」
「は?」
「……なんだか混んでるみたいだし……予約してないと入れなくないですか?」
予約? てかファストフード店て予約するものだったっけ?
「も、もしかしてコロちゃん、この店初めて?」
「……はい。とっても有名なお店ですよね? CMも見たことあります。だから予約しないと入れないんじゃないかな……って」
うん。なるほど。理解した。完全に理解した。
確かに、良家の方々は、ハンバーガーのチェーン店なんてふつうは利用しないよな。ファストフード店なんて利用しないよな。
「えっとね。コロちゃん、このお店は予約なしで入れるの」
「え? そうなんですか??」
「そこのカウンターで、料理を注文して、自分で机まで運んで行くんだ」
「そうなんですね! 面白い!!」
そのあと、俺と
「セット?? コース料理のことですか?」
「え? アプリで割引券があるんですか? サービス料がかかるんじゃなくて??」
「自分で料理を運ぶってことは……チップはどこではらえばいいんですか?」
うん。浮世離れがすごすぎる。下々に生きる俺と
「うわー、おいしいです♪」
コロちゃんは、人生で初めて食べるジャンクフードにご満悦だ。ニコニコしながら、夢中になってハンバーガーを食べている。カワイイ。
「あはは、コロちゃん、唇にケチャップついてるよ」
そう言うと、
「え?」
コロちゃんの顔は、たちまち真っ赤になっていく。
「あの、
「え? あ、そっか! えへへ、間接キスだね! ごめんごめん」
そんな
ん? これって……コロちゃん、ひょっとして……??
コロちゃんは、うつむいて顔をまっかにしたまま、細くて白い、スラリとした指をナゲットへとのばすと、その指は、パクパクとたくましく猛スピードでフライドポテトを食べ終えて、そのままナゲットへと勢力を拡大した食欲旺盛な
「あ! ごめんなさい!!」
コロちゃんは、慌てて指をひっこめる。そして赤い顔がさらに真っ赤に染まっていく。
うん。なるほど。理解した。完全に理解した。
コロちゃんは……
ん? でも、異性として? それとも……同性として??
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