第100話 100匹のカニジャッジメント。ーGー
倒すだけなら、同一シリーズの〝ガンコ=ゾディアック〟や〝ツイン=ホロスコープ〟に比べると圧倒的に簡単で、素材集めの周回プレイにも向いている。
でも、オーバーキルを狙うのは、圧倒的に難しいボスだった。
〝ジガ=コンステレーション〟は、星占いの、おひつじ座、かに座、やぎ座、そして、てんびん座をモチーフにしたボスで、ヤギの頭とヒツジの頭が上下反対にくっついた合成獣だ。
弱点は、『太陽の導き』シリーズのボス共通で、合成獣のつなぎめにくっついている〝
ヤギ頭の時はハイジャンプからのツノ攻撃。ヒツジ頭の時は丸まってからのローリングアタック。これを永遠と繰り返す。
倒すだけなら、インファイターの〝ドラゴンスクリュー〟や、マタドールの〝ブルズスクリュー〟で、ひっくり返して、弱点の〝
でも、〝ジガ=コンステレーション〟はボスを倒した後の追加ダメージが入らない仕組みになっていた。追加ダメージは、ステージ上にいる100匹のカニが決めることになる。
ステージ上に大量にうろついているカニは、戦闘中に〝ジガ=コンステレーション〟やプレイヤーにプチプチと踏みつぶされていく。そして〝ジガ=コンステレーション〟を倒した時、生き残ったカニたちが、仲間を踏み潰された恨みをこめて〝ジガ=コンステレーション〟に逆襲する。
この時に『生き残ったカニ』の数が多いほど追加ダメージが入る仕組みだ。
40匹以上残せばシングルオーバーキル、60匹以上残せばダブルオーバーキル、そして80匹以上残せばトリプルオーバーキルの達成だ。
でも、80匹以上のカニを生存させるのがとんでもなく難しかった。
カニたちは、生息地の入江を〝ジガ=コンステレーション〟に奪われたという設定で、〝ジガ=コンステレーション〟に、ワラワラとつきまとっている。
だから、弱点狙いで〝ジガ=コンステレーション〟をひっくり返すと、カニたちもプチプチと巻き添えにしてしまう仕組みになっていた。
つまり、なるべくひっくり返さず、要するに『弱点を狙わず』に、かつ迅速に倒す必要がある。
以前、エリアルハンターの
(
あと、
だから多分このボスは、新規実装の〝ハッソウザムライ〟と〝ウエポンコレクター〟を使うことを前提としてデザインされたボスで、このふたつのクラスの特徴をフル活用することで、トリプルオーバーキルが狙えるんだと思う。
俺たちは、〝ジガ=コンステレーション〟と100匹のカニが待ち受ける、崖に囲まれた入江に踏み込んだ。
「めえええええ!!」
「でたな! ヤギヒツジ! 今日こそカニをぬっ殺さない!!」
そして、
「
「りょーかいのすけ!」
すると、数珠はまばゆい光を放ち、〝
「
「なにそれ? あ! これか! ポチッとな!」
VRゴーグルをかぶった
バシューーーーーーーーーン!
「わ、なにこれ?? すごーい!」
〝ウエポンコレクター〟は、特定の武器の組み合わせの場合にのみ使用できる、〝スペシャルスキル〟を使用できる。
〝ムーン・スパイラル・キック〟は、大ジャンプのあとの急速落下キックで敵に大ダメージを与えるスキルだ。予備動作はとんでもなく長いけど、空中にいるからカニを踏んづける心配がない。
あとは、俺の陰陽術師で、ふたりにどんなサポートができるか……なんだけど……俺は、さっきからずっと、画面の右端に映っている、陰陽導師専用の時間表示、〝万年暦〟とにらめっこをつづけていた。
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