第82話 ゼロ距離の初体験。
今日は、クリスマスイブ。街はお祭り騒ぎだ。
そのお祭り騒ぎの人々が行き交うさまを、俺は、高層ホテルのスイートルームから見下ろしていた。
遠くにはレインボーブリッジが見える。
そしてすぐ隣には、
「
「はい。ちょっと怖かったですけど、
「そう。それはよかったです」
背が低くて化粧っ気がない、まるで中学生みたいな
俺は、そんな
「入れるのを間違えた時は、俺あせっちゃって、
「ふふふ、最初はだれだってそうです。そうやって、失敗をして一人前になるんですから。じゃあ、今度は切る初体験ですね」
「はい」
俺が力強くうなずくと同時に、絶世の美女が現れた。
リハーサル終わりでシャワーを浴びて、だるんだるんのパーカーを着ている
いや、まだスイッチを入れているからFUTAHOさんか……。
「スーちゃん、ムーちゃん、おまたせ」
FUTAHOさんはホテルの備え付けのバスタオルで髪をわしわしと拭くと、ベットの上に座った。
「では、
「はい」
「頼むね、スーちゃん」
FUTAHOさんは、俺にウインクをすると、そのままゆっくりと目を閉じた。
俺は、ベッドに座って目を閉じている
そして、
「きみの名前はふ・た・ほ。
もう緊張しなくてもいい。自由になってもいい。
FUTAHOの仮面をゆっくーーーーりと、はがしとる」
FUTAHOさんは、目をとじたまま、ゆっくーーーーりとうなずいた。
「ふふふ……いい子だね。
さあ、
3……2……1……」
パチン!!
俺が指を鳴らすと、
「おっはよー。スーちゃん! ムーちゃん」
「おはようございます。
「おはよう
「じゃあ、本番が始まるまで、
俺は、
商品は、ママと父さんの会社で開発しているソイプロテイン。
CMは、お台場のヴィーナスフォートをパルクールでところせましと走り回った
CM撮影の様子は、SNSで大々的に公開されていて、
本番は深夜、施設が寝静まったあと、〝令和のヴィーナス〟がヴィーナスフォートを縦横無尽に駆け巡る。
撮影は一回だけ、長回しの一発勝負だ。
俺は、本番までの待ち時間の間、
今日、新しく実装された、新ボス〝ツイン=ホロスコープ〟と対戦するためだ。
・
・
・
童顔のニコニコ笑顔で
「ねえ、
「え!? えぇええぇぇーーー!?」
「
俺は、
あまりに長丁場だから、リハーサルと本番の間に一度FUTAHOスイッチを切って、
「いーなー!
すると
「まーまー、
「あ、それ、いいですね! だってアタシまだ、
「そんなことないよー、
「いやいや、背景の話です! アタシは、『信長のおねーさん』のアシスタントでもあるんですよ!! 早く一人前にならないと!!」
「うふふー、頼りにしてるよー、十五夜うさぎ先生!」
・
・
・
アシスタントといっても、することは家にいる時とおんなじ、
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