第79話 ゼロ距離のご対面。
「でもー、せっかくだから、もう一本スピンオフ企画がほしいかなー……」
「なにか、お考えが?」
「はいー。私以外の作家さんの4コマ漫画なんかどうかなーって。
ほら、良くあるじゃないですかー」
「うーん、確かに定番なんですけど……『信長のおねーさん』はコメディですから、よほどセンスのある作家さんじゃないと難しいかな……と。
あと、一番人気の
「じゃあー。わたしが推薦するかたちでー」
「ひょっとして、お心当たりが?」
「はい! ちょっと呼んできますねー」
そう言うと、
そして、
「
そう言うと、
リビングを移すモニターには、
「こちら、わたしのアシスタントをしてくれている、
「
そりゃそうだ。『月刊はなとちる』は、
「
「はいー。今月からアシスタントをしてもらっているんですー。
「え、えええ! ひょっとして、冬コミの原稿ですか! そ、そそそそんな、恐れ多いです!!」
しどろもどろの
「ほう。面白そうだ、拝見してみます」
でも、
タブレットを持った途端、
「ん、君、ひょっとして、〝
「え! あ、はい! アタシのペンネームです」
「驚いた! まさか
「えええ! そうなんですか!」
「さすがー、見る目ありますねー」
「みどころはあるなと思ったんですが……いかんせん、ヒロインのお相手の男の子が、『信長のおねーさん』の
「そうだったんですねー。確かにそっくりですものねー」
(そうなんだ……俺は読んでないからサッパリだけど)
「でも、物語はすごく魅力的で、担当をつけた方がいいんじゃないかって話し合っていたんです。で、今月の〝はなちる〟発売後、ご連絡をさしあげようかと……」
「ええええ!? 本当ですか!?」
「はい。私が担当に立候補したので、挨拶がはぶけましたね。
はじめまして。
よろしくおねがいします〝
「ア、アアア、アタシに〝はなちる〟の担当さん? しししかも
「それじゃ、さっそく、作品を拝見しますね」
「ひゃ、ひゃい!!」
モニター越しにも、
「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
「あ、あの……」
沈黙に耐えられなくなった
「面白いですよ! これ! めちゃくちゃ面白いですよ!!
とくに、やえが〝福わらい〟に夢中になって太ももがあらわになっているところを、のぞき込もうとする信長と、必死で止めようとする
「ですよねー、そのあとの、やえがご褒美で『いいこいいこ』しようとしたときの『ちょ、やめるでござる!』は最高にきゅんきゅんきますよねー」
「いやー、これはすごいな、信長と
「え? あ、ひゃ、ひゃい!」
「ページ数は……あ、まだ学生さんですよね……とりあえず増刊で7ページ載せて評判が良ければ本誌との同時連載をして……ああ、興奮してきた!」
「あ、その前に、改めてご挨拶ですね!」
そう言うと、
「はじめまして、先生の担当をつとめます。
「え、あ、ひゃい!!」
「あ、あの……
「え!? な、何故ですか?」
「だってほら、名刺にある
TADOKURA(タドクラ)を逆さまに読むと
ARUKODAT(アルコダット)ですよね。
おととい、一緒にパーティー組んだ時の〝アルコダット〟さんと声がすごく似ていたし」
「な、なんだってーー!!」
「にゃ、にゃんだってー!!」
俺と
あ、でも、〝流しのアルコ〟、最近〝よろず〟が
俺が、グルグルといろんなことを考えていると、
バタン!
勢いよくドアが閉まる音がして、ドタドタと階段を上がる音がする。
そして、唐突に
「アーちゃん、打ち合わせが終わったら、フーちゃんと一緒に
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