第73話 気配りゼロのアポイント。
「じゃー先輩ー。少しの間よろしくお願いしますー」
「んきゃ! 任せときー。日曜の朝には仕上げよう!
「センパーイ、徹夜はさすがに聞いてないし!」
「……はやく……特別報酬を……よこせ……」
そんなふたりに、
「
「さすが
「……
ん? 特別報酬ってなんだろう?
俺は首を傾げながら、
2階のダイニングでは、すでに餃子ができあがっていた。水餃子と焼き餃子、それから揚げ餃子が山盛りになっている。
「おーきたきた、やっときたのだ! はいコレ、イーちゃん!!」
そう言うと、
「仕事中に会社を抜け出してドンキホーテで買ってきたのさ」
と、父さんが得意げに胸をはる。(本当にこんなんで、会社で中間管理職をやってけてるんだろうか)
「えー、ちょっとはずかしいなー」
そう言いながらも、
「まだ作業もあるだろうし、ノンアルコールビールで我慢してね」
母さんが、
みんなが飲み物を注ぎ終わると、レモンサワーのグラスを持った父さんが「コホン」と気取ってせきばらいをして席を立つ。
「それじゃあ!
プルルルル、プルルルル。
父さんが乾杯の音頭を言い終わる寸前、水を指すような電話の呼び出し音が鳴った。
「ごめんなさいー。編集さんからお電話ー。多分、原稿の進捗を聞きたいんだと思うのー、でてもいい??」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
「どうぞ、どうぞ、どうぞ!」
流石に「聞いてないよー!」とは言えない俺たちは、
「はい!
お世話になってますー。
はいー。漫研時代の親友にヘルプに入っていただいてー。
なんとか日曜日の午前中にはー」
でも……
「ですからー、それはもうお断りを……。
…………………………………………。
ええ! そ、そんな!
…………………………………………。
は、はい……はい……わかりました。お待ちしております……」
ピッ!
電話を切るころには、
「どうしました、
「
本誌と増刊の同時連載で最低月産60ページ。
それができないなら、すぐに養護教諭をやめてくださいって……そのことで話がしたいから、日曜日に編集長と一緒に家にくるって……どうしよう」
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