第69話 ?距離のコンビネーション。ーGー
『お、流しのアルコじゃん!』
『ほんとだ、フーターたちと共闘なんて珍しい』
『てか初めてじゃね??』
『だと思う』
『だとしたら相当レアだな!』
〝アルコダット〟の参戦で、にわかに掲示板が活気付く。
そうそう、こうでなくっちゃ!!
あの〝流しのアルコ〟の参戦だもん。世界をまたにかけて活躍する凄腕マタドールの参戦なんだ。アガるに決まっている!
(これで
〝アルコダット〟は、ゆったりとしたニュートラルポーズで、突進をはじめたガンコ=ゾディアックを待ち受ける。そして、
『はっ!』
掛け声と共に、マントをひるがえしてガンコ=ゾディアックの突進を受け流す。でも、
ぶすり!
サソリの尾に、脇腹を突き刺された。ダメージ表示と共に、毒ダメージが、〝アルコダット〟の上に「ピョコン」と飛び出す。
『え?』
『喰らったw』
『しょぼ……』
『操作ミスったか?』
いや、違う! 〝アルコダット〟は攻撃を優先したんだ!
その証拠に、マタドールの細い剣がガンコ=ゾディアックのサソリの尾の付け根に刺さっている。サソリの尾は、力なくダランと地面に横たわっていた。
『やはり、そうでしたか。あんな追尾性能の高い攻撃、常識では避けようがない。
とすれば、封じる策があると読むのが定石』
〝アルコダット〟は、腰に手を当てて、まるで栄養ドリンクを飲むサラリーマンのように〝ドクトルドリンク〟を飲み干した。
すると、たちどころにまばゆい光につつまれて、毒ダメージが浄化されていく。
『ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
ガンコ=ゾディアックは、反転して再び〝アルコダット〟に突進する。
『はっ!』
またも掛け声と共に、マントをひるがえしてガンコ=ゾディアックの突進を受け流し、今度は後ろ足の付け根に細長い剣を突き刺した。
『これで、機動力のデバフも追加です。フーターさん。次はあなたも攻撃に加わっていただけますか?』
「わかったのだ!!」
スゴイ! めちゃくちゃカッコイイ。
完璧に攻略パターンを読み切っている!!
ガンコ=ゾディアックは今日投入されたばかりのボスだ。〝アルコダット〟だって初見のはずだ。にもかかわらず、弱体化ができるポイントを完全に読み切っている!
そう! マタドールは、回避とデバフに特化したクラスだ。
目隠し効果のあるマントで敵の攻撃をさばいて、すれ違いざまに剣を突き刺す。
剣が突き刺さるとデバフ成功! その剣が突き刺さっている間はモンスターを弱体化できる。
パンパン! 『オーレイ!!』
再びガンコ=ゾディアックに〝挑発〟のスキルをお見舞いする。
(多分、デバフの影響で〝アルコダット〟のヘイト値がさがったからだ)
『ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
挑発に踊らされたガンコ=ゾディアックは、足を引きずりながらも、みたび〝アルコダット〟に突っかかっていく。
『行きますよ! 〝ブルズスクリュー〟』
〝アルコダット〟は、マントを使わずに、ガンコ=ゾディアックの攻撃を回避した。そしてすれ違いざまに、ガンコ=ゾディアックが引きずる後ろ足にマントをまきつける。
『はっ!』
ズッシーーーーーーーーーーん!
ガンコ=ゾディアックの巨躯が、砂埃をあげながら仰向けに倒される。
弱点の
その丸見えのモロ見えになったガンコ=ゾディアックの弱点に、〝アルコダット〟は細長い剣、フーターはワイヤーガンをぶっさすと、すぐさま、ふたり揃っての高速斬撃をお見舞いした。
『あ、こりゃ勝負ありだわw』
『デバフされた弱点に、攻撃力の高いエリアルハンターの高速斬撃だもんな』
『さすが流しのアルコ』
『お見事』
『いきなり完璧な連携かますフーターも相変わらずの変態w』
『今日はえーもん見させてもらった』
『サソリの尾が封じれるのなら、そこまで難易度も高くない気がする』
『だな、序盤のヤドカリモードも、振動でこぼれる毒に気をつけながら山をくずしていけばいいんだし』
観客モードが、〝アルコダット〟と〝フーター〟の完璧な連携プレイに手放しの賞賛だ。もう、感想や自分たちが倒す場合の考察が始まっている。
でも違う。本当のショーはこれからだ。そしてそのことを、当然のごとく彼も知っていた。
『〝トリプルオーバーキラー〟の〝ロンリー〟が、〝フーター〟と〝マーチ〟を
「もちろんです!!」
俺は、マーチに干支モンスターの呼び出しを、口頭でリクエストする。
(〝アルコダット〟がいるから、普段の
「わかった、まかせて〝ロンリー〟!」
〝ロンリー〟の本日限定スーパーチート魔法と、〝マーチ〟の神業変態パズルスキルで、観客モードのギャラリーを、あっと驚かせてやるんだ!
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