第61話 洞察力ゼロの勘違い。
俺と
「
部屋には、壁一面に本棚があって、机には、ふだんゲームでつかっているハイスペックなタブレットが置いてあって、机の前にいくつかの張り紙があった。『信長のおねーさん』のキャラクター表だ。トーンの濃度とか、着物の柄に対するメモとかが、細かく指定されてある。
その張り紙を見て
「やっぱり!
『信長のおねーさん』本作るんだ!
だから原稿が忙しくて、最近寝不足だったんだ!」
…………。
うん。リアクションに困る。でも、ぶっちゃけ
「そっかー! 先生も『信長のおねーさん』好きなんだ!
身近に同士がいると本当に心強いよ!!
会場で本交換してもらおうっと!!」
…………。
うん。リアクションに困る。本当に困る。
興奮して、俺には秘密にしているはずの、冬コミに向けて信長×
俺が、
「冬コミ? イーちゃん、冬コミに出るの?」
「え! 違うんですか?」
「うん。そんなこと聞いてない。イーちゃんは昔は同人誌をつくってたけど、今はつくってないのだ」
「え? あ、でも、このキャラクター表……本物だ! 雨野先生の画風そのまんまだ! え? え?? ということは……ひょっとして……」
「
…………。
うん。リアクションに困る。本当に本当に困る。俺は覚悟した。覚悟して
「そうじゃないよ、
「ええええええええー!? ちょっと、ちょっと、大ニュースじゃない! ちょっとちょっと、
「い、いや俺もついさっき知ったばっかりで……」
俺がしどろもどろになっていると、
「
って、電話から戻ってきた
「多分ですけど、
「イーちゃんは、ずっと言ってる。スーちゃんは自分が守るって」
俺は、
「スーちゃんが弟になる前から、イーちゃんは、ずっとスーちゃんのことが気になっていたのだ。退学になるのは、どーしても避けたいっていってたのだ」
なんてこった。てことはひょっとして、俺が
俺は、顔から血の気が引いていくのがわかった。
俺は、血の気がひいた、でも随分とスッキリとした頭で、思ってることを口にすることにした。
「俺、学校辞めます。
「バカなこと言わないで!!」
言ったのは、
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