第60話 遠い遠いゼロ距離の先生。
俺は、
……え? どういうこと?? つまり、えっと……え? どういうこと??
手書きの手紙の宛先は、〝
そして、
……え? どういうこと?? つまり、えっと……え? どういうこと??
俺は、
つまりだ。
マジで、本当に? 本当に本当にマジで?
だって
ふつーに母さんと一緒に、いつも晩御飯を作っているよね??
ふつーに俺や
つまり、それをこなしながら、ずっと漫画家さんをやっているってこと?
もう2年近くも連載をつづけているってこと??
そして、今月は大増40ページの『信長のおねーさん』を掲載してるってこと???
すごい! すごいなんてもんじゃない。とんでもない!!
俺は知っているんだ、
今、冬コミに向けてコッソリ書いている『信長のおねーさん』の、信長×
とんでもない! ちょっと本当に信じられない!!
あ、でも、
タブレットとペンデバイスと左手デバイス、あれ、デジタルで描く漫画家さんも同じ方法で描いているって聞いたことがある。
バリケーダーの神業は、漫画の技術応用だったってことか……。
いや、それにしても、それにしてもだ!!
大増40ページって! 普段の3倍近くある。そして手紙には今月も増ページだって書いてあった。
どうりで最近、母さんと晩御飯を作らなくなったわけだ。
ねぼすけさんになったわけだ。
俺は最近の
そして、思った。
手紙には、『たくさんのファンが期待しております。待ちわびております。』って書いてある。
すごくわかる。だって俺は、今月の大増40ページをものすごく喜んだもの。早くアニメを見れる日がくるのを待ちわびているんだもの。
そして俺みたいに『信長のおねーさん』を待ちわびでいるファンが、たくさんいるんだもの。
俺は、今までごくごく身近にいた
すごく遠くの、雲の上のような存在だった雨野うずめ先生と重なって、遠くへ遠くへいってしまったような気がした。
ガチャリ!
「たっだいまー!!」
「おじゃまします」
一階からおとぼけた声と、お真面目な声が聞こえてくる。
「おかえりなさーい」
俺が返事をすると、一階からは返事がなかった。代わりに、
「何? その手紙??」
いつの間にか俺の隣にいた
「な、ななななな! なんでもないよ!!」
俺は大慌てで手紙を『月刊はなとちる』の入っていた封筒にしまいこむと、大慌てで話題を変えた。
「ふ、
「あ……そーいえば、そうだね」
「今日は、『ガンコ=ゾルディックをぬっころす!』って言いながら仕事に行ったから、てっきり速攻
「あー、なんかそんなログインボーナスあったね。新ボスが登場するって」
「うん。今日は、仕事の合間に遊ぶヒマがなかったらしいから、絶対遊びたくってムズムズしてると思ったんだけど」
「確かに。それは変だね? あ、ひょっとしてワークアウトじゃない? まだFUTAHOスイッチ切ってないとか……」
俺たちは、家に帰ってから一向に姿を見せない
でもよくよく考えたら、直接見に行った方が早いって当たり前の結論に気がついて、一階へとおりた。
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