第56話 余裕ゼロのモーニング。
仕事に向かうFUTAHOさんと
「おはよう、
「おはよう、母さん」
「
「うん。さっき武蔵さんと一緒に出掛けていった」
「そう。最近、ふたりとも仕事が忙しそうで心配だわ……」
ふたりとも? どう言う意味だろう。
「さあ、朝ごはんをつくらなきゃ」
「俺も手伝うよ」
「母さん一人で大丈夫。
「わかった」
俺は、言われるがままバスルームでシャワーを浴びた。
最近の
でも元気だ。
仕事の空き時間に、ちょくちょくFUTAHOスイッチをきって、
俺も、ちょくちょくギャラリーモードで
でもって、家に帰ったら、俺と一緒に
今日もきっと、夕方から俺と
「ふう……」
俺は、シャワーを浴び終わってリビングに出た。
「おはようございます」
「おはよう」
「おはよう」
「おはよう」
「おはよう」
父さんと母さん、そして、パパとママが一斉にあいさつをする。随分と慣れたけど、やっぱりちょっとややこしい。
俺はダイニングテーブルにつきながら、ちょっと気になったことを聞いてみた。
「
「そうみたい。昨日、朝ごはんは、いらないって言っていたから、ギリギリまで寝てから学校に行くみたいよ」
母さんが返事をした。
最近の
俺は、かなりゆっくり、黄身が濃いめのオムレツとトースト、そしてブラックコーヒーをゆっくりと楽しんでいる。もうそろそろ、学校にでかける時間だ。
「ひゃー。ねすごしたー」
「はい。
母さんが、ソイプロテインのシェーカーを渡す。
「すみません……。朝方、ちょっと仮眠するだけのつもりが、シャワーを浴びたら完全に爆睡しちゃって……」
え!? 俺が朝、ジョギング行くときにすれ違った時、まだ寝てなかったんだ……。
「あなたが決めたことだから止めはしないけど……無理はほどほどにね……」
ママがため息混じりにいった。それに父さんがニコニコしながらつづく。
「ぼくを見習うべきだよ。ぼくなんて、会社に遊びにいっているようなものだし!!」
「あなたは、少しは
ママにピシャリとしかられて、父さんはてへぺろと舌を出す。
(本当、なんでこんな調子で課長にまでなれたんだろう)
「大丈夫。今が極端に忙しいだけ。もう少ししたらおちつくから……じゃあ、もう遅刻しちゃうから……行ってきます!!」
好きなこと?? もう少ししたら落ち着く?? なんだろう?? さっぱりわからない……。
俺は首をひねりながらコーヒーを飲み干すと、食器を流しに置いて、3階の自室で制服に着替えた。そして、
「いってきます」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい」
父さんと母さん、そして、パパとママ。ちょっとややこしい我が家の保護者たちに見送られて、玄関を出た。
一ヶ月ほど前までは、学校が始まる30分前に家を出ていたけど、今は10分ちかく遅い。
俺は、自転車を軽快に飛ばして、ラスト500メートルにある心臓破りの坂も軽快にのぼっていく。
俺は、見渡すかぎりの水平線を存分に楽しみながら、ほんの少し息を弾ませて、学校の校門をくぐりぬけた。
そして、自転車を自転車置き場に停めて、まっすぐと保健室へ向かう。
俺は、いまでもずっと保健室登校を続けていた。
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