第55話 ゼロ距離のささやき。
俺は、夢の中でヤドカリと戦っている
それに気がついた
「ありがとうございます。
「わかりました」
俺は、言われるがまま、
そして、
「あなたの名前はF・U・T・A・H・O。FUTAHO。
とてもクールで、とてもストイックな、女性のあこがれ。令和のヴィーナス。
あなたはとても寡黙な女性。余計なことはしゃべらない。余計なことは行わない。
みんなのあこがれ、FUTAHOを完璧に演じきる」
「うふふ……いい子だね。
さあ、FUTAHO、仕事の時間だよ。ボクの合図で目覚めるんだ。
3……2……1……」
パチン!!
「おはよう。ムーちゃん」
「おはよう。今日も綺麗よ、FUTAHO」
「ありがとう」
父さんとママの会社で開発している、ソイプロテインだ。
FUTAHOさんは、その白い粉をシェイカーに入れて豆乳を注ぐと、シャカシャカとよくふってからゴクゴクと一気に飲み干した。そして、
「シャワーあびてくる」
と、スタスタとバスルームへと去っていった。
俺と
「悪くはないです。
「ありがとうございます……でもまだ『美味しい』とは言ってくれないんですね」
「はい。私は嘘がつけません。私が美味しいと感じるハーブティーは、
そう言って、
いつもそうだ。
FUTAHOさんは、毎回、いつも、必ず、
FUTAHOさんは、バスタオルでわしわしと頭をふきながら、武蔵さんにたずねた。
「今日の予定は?」
「年末特番のスタジオのスポット参加と、年始特番のビデオ出演。あとその間に雑誌とwebコンテンツの取材がふたつ。最後にYouTube」
FUTAHOさんは、それを聞きながらダイニングまでやってきて、瓶に入った数種類のサプリメントをジャラジャラと手のひらにおくと、ぬるくなったハーブティーで一気に飲み干した。そして母さんが洗濯したての、シワのない、だるんだるんのパーカーを着込むと武蔵さんに質問をする。
質問は、必ず、絶対、一つだけ。
「抜ける時間は?」
「残念だけど、ないわ。今日はスイッチは入れっぱなしにしてちょうだい。でも夕方までには仕事は全部終わるから、そこからは家に帰って
「FUTAHOさん、今日は
俺は、
「ふふ、それは楽しみ! それじゃ、今日も1日頑張ろっかな」
「着替えは、車に入れてあるから」
「了解。それじゃ、スーちゃん行ってきます」
「いってらっしゃい、FUTAHOさん」
俺は、玄関までFUTAHOさんと
「それでは、
武蔵さんが、ちょこんと頭をさげると、静かにアルファードの運転席に乗り込んで後部座席のドアを開ける。
FUTAHOさんは素早く後部座席に乗り込むと、振り向きざまにウインクをしながら、
「じゃ、スーちゃん、今日はミーちゃんと一緒にヤドカリをぬっころすのだ!」
って一瞬だけスイッチを切って
「出発します」
そして、力強くも静かなエンジン音とともに、アルファードは発信して、俺の前から消えていった。
ん? ヤドカリをぬっころす??
俺は玄関を閉めると、急いで自分の部屋にもどってスマホで
ログインボーナス演出と、期間限定ログインボーナス演出と、テレビCM放映記念ログインボーナス演出のあと、初めて見るログインボーナス演出が現れた。
そこには『新ボス!〝ガンコ=ゾディアック〟現る! 実装記念ログインボーナス』と、書かれてあって、俺は、ペットフードを5個ゲットした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます