第二章
第52話 ゼロ距離おねーさんははいている。
白を基調にした広い広いリビングの窓は、一面のパノラマになっていて、きらびやかな夜景が広がっている。
ガシャーン!!
突然、窓ガラスが割れた。全身黒ずくめの二人組の男が、
鉄パイプを持った男と、金属バットを持った男。表情はフルフェイスのヘルメットに包まれていてまったくわからない。
部屋に入るやいなや、男たちは
ガラン!
バキイ!
男の土手っ腹に、鉄パイプを神スイングで振り抜いた。
倒れる男の奥から、もう一人の男が金属バットでなぐりかかる。
ガギン! ガギン! ガギン!
力任せに金属バットを振りまわす男に少しずつ押されていく
バキイ!
「……ううう」
うめきながら倒れる男の上に、どっかと座った
『神ボディ!! キープ!!』
俺は薄暗い家のリビングで、そのCMをぼんやりとながめていた。
ノースタントで、アクションシーンを堂々と演じる
『神ボディ』は流行語大賞にノミネートされていた。
(『はいたら負け』の方がインパクトあると思うんだけど……)
全自動ミルのついたコーヒーメーカーは、ぽこぽことコーヒーを落として、いい匂いを漂わしている。
俺はキッチンで淹れたてのコーヒーをカップにそそいだ。
『ジリリリイ! 5時45分! 5時45分!!』
テレビに映った目覚まし時計のキャラクターが、今の時刻を教えてくれる。
インキャぼっちの朝は早い。意外に思うかもしれないけれど早い。何故なら俺は、幼馴染の
早朝ランニングを毎日5キロ。9月上旬から始めている。初めの頃はひとりでやっていたけど、日が登るのが遅くなってきてからは、
「神ボディを目指すミーちゃんのボディーをガードするのが、スーちゃんの務めなのだ!」
って
俺はコーヒーを飲み干すと、テレビを消して階段を降りる。すると階段で部屋着姿の
「おはようございます」
「おはよー。今日はさむいねー。12月になったらいきなり寒くなった感じー」
「はい。でも走ったらすぐにあったまるから」
「すごい。もうすっかりアスリートだねー」
「ア、アスリートは言い過ぎですよ、ふつーのジョギングです」
俺は、外に出ると、準備運動を済ませて
最初の頃は自転車でマンションまで行ってから、そこから
俺と
でも我が家では、家族公認の彼女ってことになっていた。
俺は、相変わらず、難易度ウルトラハードの
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