第46話 ゼロ距離のおっぱいサンド。

「え? どうなったの?? オーバーキル……ってなに???」


 キンチョチョチョールを呼び出して、ドリルドリュウにとどめをさした三月みつきが、困惑の声をあげる。


「お手柄だよ! しかもトリプルオーバーキル!!」

「トリプル? なにそれ?? ちょっと何言ってるかわかんない!!」

「つまり、俺たちが勝ったってこと!!」

「え? そうなの??」

「ああ、三月みつきのおかげだよ!!」


 三月みつきは首を傾げながらVRゴーグルをはずす。俺は三月みつきの前に右手を出した。

 三月みつきはちょっと照れながら、俺の右手を「パチン!」とたたく。勝利のハイタッチだ!


「やったね! ミーちゃん!!」


 二帆ふたほさんが、ハイタッチをしている俺と三月みつきに抱きついてきた。俺の右ほっぺたに、「下着をつけたら負け」のストイックなこだわりを持つノーブラ二帆ふたほさんのスタイル抜群のおっぱいが「ぷりん」とあたる。


「あー、フーちゃん、ずるいー。わたしもわたしもー」


 そう言いながら、一乃いちのさんもおおいかぶさってきた。俺の左のほっぺたに、おっきな低反発素材のおっぱいが「ぷにょん」とあたる。


 俺の顔は、SSR美人ゲーマー姉妹のよっつのおっぱいにおしくらまんじゅうされて、ここには書いてはいけない〝庚申かのえさる〟を、ニョキニョキとのばして体を密着している三月みつきに、そのさきっちょを「コンコン」とぶつけてしまっていた。


 この気まずくも魅惑的な勝利のハグが終了すると、二帆ふたほさんはスタイル抜群のおっぱいを張って仁王立ちになって言った。


「フーちゃんは、弟くんの彼女が凄腕でハナが高いのだ!」

「違います! 幼馴染です!!」


 言ったのは三月みつきだった。


すすむ荻奈雨おぎなう先生に抱きつかれて、嬉しいんでしょ!!」


 三月みつきは、リスの様な目をイジワルに細めて言った。声のトーンもちょっとわざとらしい。


「そそそそそそ、そんなことないよ!!」


 俺は慌てて否定した。三月みつき……応援してくれるのは嬉しいんだけど、その言い方はちょっと露骨すぎる!! 俺が一乃いちのさんが好きなことがバレてしまったら、もともこもないじゃないか!

 だって俺は、一乃いちのさんにふさわしい、りっぱな大人になってから、キッチリと自活をできる立派な社会人になってから告白をしたいんだもの!!


 三月みつきの言葉に、二帆ふたほさんも猫の様な瞳を細めてニヨニヨ笑いをした。


「そーなのかー!! スーちゃんはお姉さんっ大好きっ子なのかー!

 よかったね、イーちゃん!!」


 二帆ふたほさんの猫の様な瞳はどんどんと細くなって、ニヨニヨ笑いはさらに口角をあげていく。そしてその視線の先は、一乃いちのさんに向かっていた。俺が振り返ると、一乃いちのさんは、


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 顔を真っ赤に染め上げていた。


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 え? どういうこと??


「わ、わたしー、パパとお父さんのバーベキューのおてつだいしなきゃー」


 一乃いちのさんは、タブレットとペンデバイス、それから左手デバイスをいそいそと両腕でかかえると、そのまま大急ぎでドアに向かって歩いていって、


 ガチャ! バタン!!


 と、高速でドアを開け閉めして逃げる様にさっていってしまった。


 えっと……本当に、どういうこと??

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