第36話 ゼロ距離おーねーさんはキューピッド。
俺と
2階では
「あら?
「あれー? どうしたのー?」
母さんと
「そ、その、
俺は、なんともくるしい言い訳をする。
「そうなんだー。ふたりでいろいろ楽しめばいいのに。別にゲームじゃなくてもー」
「お、
「シュラスコだよー。お肉の串焼き。夕方になったらお外で焼くのー」
串焼きと言うには、かなり物騒……じゃない本格的な料理だ。ご家庭でやるバーベキューで、剣が突き刺さった肉塊のバーベキューが出てくるなんて。
「
おばさん、こんなハイカラな料理ははじめてよ。うふふ」
「そんなー、お母さん、初めてだとは思えない手際の良さです。わたしなんかより全然上手ー。今日のシュラスコはお肉がやわらかく仕上がりそー」
母さんと
「……ところで、ママは?」
俺は、さっきからちょっと気になっていることを尋ねて話題をきりかえた。
「ママなら、一階の書斎でムーちゃんと電話してるよー。あ、ムーちゃんはフーちゃんのマネージャーさん。私の高校からのおともだちー。なんだかー、フーちゃんの来年のスケジュールを検討しているみたいー」
「ええ! もう来年のオファーが来ているんだ! さすが!!」
FUTAHO信者の
「次のオリンピックまではスケジュール埋まっているみたいー。今はー、スポットでできる仕事を検討しているんだって」
「すごい……」
「すごい……」
俺と
余談だけど、我が家もやたらめったらでかい。
1階は、パパのパーソナルジムと、ママの書斎と
2階はこの広々としたLDKで、3階は、俺と、
しめて8LDK。でかいなんてもんじゃない。デカ過ぎる。
余談のついでに、引越しのとき一乃さんは3階にあった自分の部屋から、1階の部屋に移動した。今、俺の使っている部屋だ。
だから友達の結婚式から酔っ払って帰ってきた一乃さんは、間違えて俺の部屋で裸のまんま爆睡をしてしまっていたらしい。(……三月には絶対知れてはならない秘密事項だ)
「
「フーちゃんがアメリカに行っている時だよー。
パパとママは、私が中学生の時に離婚してから、ずっと疎遠になってたんだけどー、アメリカで修行していたパパにパーソナルトレーナーをしてもらうようになってから、また交流がはじまったのー」
「
母さんは、照れもせず息子の前でパパとのなりそめをしゃべった。
「ってことは、
俺は、午前中のドリルドリュウ戦のことを思い出しながら、そんなことを考えていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます