第30話 外せば勝機は永遠のゼロ。ーGー
〝
さてと、この後が最大の勝負だ。〝ドリルドリュウ〟の次の魔法をしのぐことができれば、一気に勝機が見えてくる。
俺は、〝ドリルドリュウ〟が進化した直後に、
呼び出すのはネズミ。難易度〝ちょうむずかしい〟の〝箱入り娘〟。
ヤバい! ヤバすぎる!! 背徳感が半端ない!!!
って、俺は変態か!! 今はそんなことはどうでも良くって!!
VRゴーグルをかぶった
さてと、今度は、
ヤバい! ヤバすぎる!! 心臓に悪いなんてもんじゃない!!!
って、だから今は、そんなことどうでも良いんだって!!!
俺は、自分の視線をパラダイスな光景から自分のモニターに移すと、勤めて冷静に
「
「スーちゃん、やけどなら、〝フレイムバレット〟ではないのかい?」
「やけどは俺が仕込みます。首の付け根を火傷させるんで、そこに〝スプレッドバレッド〟を連射してください!」
「よくわからないけど、わかったのだ!!」
見事ピンポイントで首の付け根に当たった〝スプレッドバレット〟は、その場で弾けてダブルインパクトを出しまくる。
『ん? スプレッドバレット?』
『ドリルドリュウ、守備力高いよな?』
『ああ、スプレッドバレットの散弾効果なんてカスみたいなもんだ』
『だからフレイムバレットで、やけどをおわせてから使うのがセオリーなんだし』
『て……ことは?』
『なるほど! ぼっチートタイムだ!!』
掲示板のコメントが華やいでいる。俺のやることに気がついたみたいだ。
今の時間は、〝
〝
俺のあやつる〝ロンリー〟は、〝フーター〟のあとを追って〝ドリルドリュウ〟の背後に回ると、ウインドウを開いてアイテムを使う。〝
書き換えるのは、〝
俺は大きな息を吐いた。集中だ! 集中するんだ!!
〝水色のしましま〟や〝はいてない〟に気を取られている場合では無い!!
陰陽術師が同じ魔法をつかえるのは1日1回こっきり(実時間で1時間)ここで外したら俺たちの勝機は永遠のゼロだ。
俺は、威力8倍のチート魔法を唱えた。
〝
〝ロンリー〟の目の前に、おっきなおっきなシャボン玉が浮かぶ。俺はそれを慎重に、慎重に、震える手でコントローラーをあやつって〝ドリルドリュウ〟の首の付け根にまで運んでいくと、おっきな声でさけんだ。
「
「りょーかいのすけ!」
じゅうううううう!!
背中にシャボン玉の液を浴びた〝ドリルドリュウ〟の首の付け根は、赤くただれて煙が吹き出している。
『でた! 酸性のシャボン玉!!』
『しかも8倍サイズの8倍やけど!!』
『なるほどねー、そこをスプレッドバレットで射撃すれば、ダメージ8倍ってワケだ』
『いや、16倍だな!』
ご名答! 俺は〝
シャボン玉は〝ドリルドリュウ〟の首のつけねに現れると「パチン!」とはじけとぶ。
〝ドリルドリュウ〟の首の付け根は、さらに赤くただれて、もうもうと煙が吹き出している。
すかさず〝フーター〟のスプレッドバレッドがドリルドリュウの首の付け根をえぐった。大量のダメージ表示が、首の付け根から煙のようにたちのぼる。
『えぐい!』
『なるほど、短期決戦ね!』
『でも、これでもむずかしくね』
『ああ。ドリルドリュウの次の攻撃をどうしのぐんだ?』
『ロンリーの仕事かと思ってたけど、もう〝
『ってことは、課金厨のマーチか!!』
ご名答!(課金はしていないけど……)
「
〝マーチ〟の後ろに避難してください!!」
「りょー!」
〝フーター〟と〝ロンリー〟は、
『
「できた!!」
ドリルドリュウのエコーのかかった野太い声と、
ドリルドリュウの背中から、大量の水があふれ出す。そして、〝マーチ〟の前には、おっきな
境界術師の
ネズミのモンスターは、
〝チュレン〟
〝チュレイン〟
〝チュウチュウレイン〟
〝チュウチュウチュレイン〟
と進化する。
するとふたつの目玉は「チュー!」とご機嫌な声をあげる。真っ黒なネズミは一気に球体へと変形した。
そう、ネズミの
『♪チューチューチューチュチュチューーチュー♪』
リードネズミのリズミカルな指示に合わせて、パフォーマンスネズミが一列に並ぶ。
『♪ちゅちゅちゅちゅちゅーーー♪ちゅちゅーーちゅちゅーーちゅーちゅーーー♪』
そして、一列になったネズミは高速に時計回りに回転して渦を巻く。その渦の中から、大量の水がふきだして、ドリルドリュウが呼び出した〝
通常は召喚した後、境界術師をサポートする
最大進化で呼び出すと、ド派手な演出で超強力な攻撃をぶっ放して去っていく、1日1回限定の、スペシャルセレブリティーな魔法がつかえるんだ!
『すげえw』
『こんなしのぎ方があるのか!』
『これはいけるかもしれん!』
『いや、次の攻撃次第だろう』
『回復ループか……』
『そ、あれがエグいから、みんな〝毒ハメ〟で倒してたんだし』
水流がはげしくぶつかる中、ドリルドリュウは早くも次の魔法を準備している。黒い布の砂時計はサラサラと落ちていって、全て落ち切ると、
『〝
野太い声が響いて、緑色のヘビが〝シャンシャンメリー〟にからみ付いた。
『めぇええええええ……』
〝シャンシャンメリー〟は、切ない声をあげると、光になって消え去った。
そして、緑色の「100」と書かれた文字がピコリンと表示される。
『100?』
『しょぼ!!』
『ウケルw』
『そうか! 最初ロンリーがやたらとダメージ食らってたのって、このタイミングでのドリルドリュウの回復を阻止するためだったのか!!』
『ロンリー……恐ろしい子!』
『白目w』
『しろめw』
『いやでもマジですごいな、これ、勝負ありなんじゃない?』
そう、ドリルドリュウの一番厄介な攻撃は、この〝
そして発狂モードを再び発生させて、状態異常をフルリセットする。このループが、もう本当にえぐかった。
〝チュウチュウチュレイン〟で津波を相殺したのもそのためだ。津波でエリアの端まで追い詰められたら、〝
でも、しのぎきった!
ドリルドリュウの回復ループから脱出した!!
これでドリルドリュウの首の付け根に多段攻撃を浴びせ続ければ、このまま押し切ることができる!
ここまでは完全に俺の計算通りに進んでいた。
即興の作戦だったけど、ここまではミスはゼロ。100点満点! カンペキだ!
そう……カンペキなはずだった。
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