第24話 ゼロカロリーのフレンチトースト。
「ちょうどよかった。
そう言って、
バケット……フランスパンで作ったフレンチトーストだ。
「
「あ、ナイフとフォーク出しますね」
俺は、キッチン棚からてばやくナイフとフォークを3セット取り出すと、ダイニングテーブルにセットした。
「スーちゃんは、いつものようにコーヒーの方がいい?」
「俺もハーブティーにします。今からコーヒーの準備をしていたら、せっかくのフレンチトーストが冷めちゃうし」
俺は知ってるんだ。
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます」
俺は、バケットフレンチトーストにナイフを入れる。ナイフは抵抗感なく入っていって、しっとりと一口大に切れていく。俺はそれをフォークにさして、口の中に放り込んだ。たちどころに口の中にバターと牛乳の滋味と、メープルシロップと砂糖のほのかな甘みが、
「おいしー」
(昨日ダイエットがどうとか言ってなかったっけ?)
「ですよね! 去年の文化祭のために、
そう。これは去年メイド喫茶で、俺と
「レンジを使うと忙しい朝でもかんたんー。これは良いこと知ったかもー」
「レンジで、フレンチトースト液をしみこませると、バケットもしんなりするし、一石二鳥なんです。普通のトーストだと、しんなりしすぎちゃって……」
俺は、自分では作ってもいないクセにうっかりとウンチクを言ってしまった……ちょっとはずかしい。
「おっはよー! なんだか良いニオイなのだ!! フーちゃんも食べたいのだ!」
(眠り続ける父さんと母さんとパパとママは、よっぽどの夜更かしをしたのだろう。うん? ひょっとしたら、昨晩は、学校3往復分のエアロバイクをこいだ俺よりもはるかに激しい運動をしたのかもしれない。お楽しみだったのかもしれない)
俺が、ここには書いてはよろしくない妄想をよぎらせていると
「ごめーん。フーちゃん、みんなで全部食べちゃったー」
と、ニコニコしながら首をかしげた。
「シェフだ! シェフを呼べ!! 一刻もはやくもう一回つくるのだ!!」
「じゃあ、今度は俺が焼きます」
俺が席を立つと、
「ではシェフ、こんだけお願いするのだ!!」
と、ダブルピースを大きく前に突き出した。
「承知いたしました。マドモワゼル」
俺は、調子に乗って、うやうやしく会釈をすると、ご注文通り4人前のバケットをフレンチトースト液にひたしてレンジで温めた。(30秒チンして裏返して、さらに30秒チン)
それから中火にかけたフライパンで、ちょっと焦げ目がつくくらいに焼き上げて、たーーーーーーっぷりとメープルシロップをかける。
できあがった4人前のフレンチトーストは、大人気モデルの朝食としては、ちょっと信じられないくらいカロリーがある。だけど、
「美味しければカロリーゼロなのだ」
って、
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