第13話 ゼロ距離おねーさんが「はいてる」日。
原因ははっきりしている。陰陽導師と、シノビスナイパーによる「毒ハメ」が、一気に流行したからだ。
3人のシノビスナイパーが、〝ポイズンバレット〟と〝ダブルインパクト〟で、毒ダメージをために貯めまくって、陰陽導師が、アナフィラキシーショックを引き起こす〝
そして最後に全員で〝
たったこれだけで、あらゆるボスに簡単にトリプルオーバーキルを叩き出すことができる。いくらなんでもぶっ壊れすぎている。
(ハリネズミみたいな、毒抵抗のあるモンスターは除く)
きっと、俺と
そして、陰陽導師と、毒の状態異常に下降修正がかかるはずだ。
多分だけど、陰陽導師の魔法の重ねがけの禁止、毒ダメージの数値上限の設置。
そして、ぶっ壊れアイテム〝
残念?
いや、まったくもって残念じゃない。むしろ「良かった」って思っている。
俺は知っていた。この仕様の穴を、夏休みに入った数日後に気がついてしまっていた。
だから運営のお問合せフォームにそのことを説明したんだけど、翌日に届いたメールはこんなことが書かれてあった。
———————————————————————————
いつも
お問合せの件についてですが、誠に申し訳ありませんが、ゲームシステムや攻略に関する質問にはお答えできかねます。
これからも、
———————————————————————————
つまり、とてもていねいにかしこまった文章で「どうでも良い」って言われたのだ。
たしかに、今まではどうでも良い仕様だった。
だって、超絶不人気クラスの陰陽導師を使っている人なんて、ほとんどいなかったから。
じっさい、陰陽導師を必要以上にやり込みまくっている、ぼっちでヒマを持て余している俺くらいしか、この仕様の穴に気がついていなかったようだし、気がついた俺も、今まではソロプレイヤーだからこのチートプレイを再現することは不可能だった。
これは、超人的ゲームセンスを持つ
あと、あまりの不人気クラス、陰陽導師を救済するために、チート級アイテムのレシピが投下されたから見つかった仕様のヌケだ。
このふたつの条件がそろわないと、この不具合が
俺は、ダイニングで俺の母さんが作ってくれたトーストと黄身の色が強めのオムレツを食べながら、スマホで、
「……スーちゃん、ちょっと、お行儀が悪いと思うなー」
「せっかくお母さんが美味しい朝ごはんを作ってくれているんだからー。
お姉ちゃんは、スーちゃんや、みんなと楽しくおしゃべりしながら朝ごはんを食べたいなー。ダメ?」
そのとおりだ、
おれは、スマホをポケットの中にしまうと、
「ごめんなさい、
と返事をした。
「もー、まだお姉ちゃんってよんでくれないのー?」
「だ、だって、恥ずかしいから……」
「スーちゃん、パパとママのことは、ちゃーんと〝パパ〟と〝ママ〟って呼んでるのに……わたしだけずるーい!」
「ふ、
「フーちゃんに聞いたもん! スーちゃんに一度だけ〝姉〟って呼ばれたことがあるって! わたしは一回もないもん! フーちゃんだけずーるーいー! ねぇおねがい! おねーちゃんって呼んで? ね?」
ずるい。
でもだめだ! 我慢だ!!
公務員になって、
(ちなみに、父親と母親が二人いるこの環境がややこしすぎるので、俺の両親は〝父さん〟と〝母さん〟、
ピロリンピロリンピロリン!
玄関のチャイムがなった。すかさず、
『おはようございます。
「あら!
「
「わかったのだー」
3回から
キャップをかぶったボーイッシュなファッションだけど、体のラインがハッキリとわかる、セクシーなノースリーブのトップスとタイトなパンツで、ジャケットとセンスの良いバッグを小脇にかかえている。
カッコイイ……。
「ご飯は?」
ママが
「現場の差し入れがあるのだ〜」
と言って、そのまま一階まで降りていった。
「やれやれ、こまった子ね。きっと、仕事先で大好きなお菓子を食べまくるハズよ。ニキビが出来てもしらないんだから」
「まったくだ。もう少し人に見られる仕事だってのを自覚してもらいたいよ」
ママがため息をつくと、マッチョコケシのパパがあいづちをうった。パパとママ、今日は随分と仲がいい……って、いやいやいや! そんなことよりも!!
今まで勝手に無職だって思っていました。
「はいたら負け」で「働いても負け」って思っている人だと思っていました。
……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます