第10話 ゼロ距離な階段。
キーンコーンカーンコーン
校庭にチャイムが響きわたる。
「……それじゃあ
「わかったー。気をつけて帰ってねー」
俺は、
ついつい早足になってしまう。一刻も早く家に帰って
何故って?
それは昨日、念願の〝
ボスをオーバーキルしたときに初回限定で獲得できるボーナスアイテム〝北斗星のかけら〟。それを7個集めると、数量限定のレシピと交換できる。
オーバーキルには三段階の判定があって、それぞれ条件と報酬は以下の通り。
—————————————
シングルオーバーキル
条件:ボスのHPの最大10%以上の超過ダメージ
報酬:北斗星のかけら1個
ダブルオーバーキル
条件:ボスのHPの最大30%以上の超過ダメージ
報酬:北斗星のかけら3個
トリプルオーバーキル
条件:ボスのHPの最大50%以上の超過ダメージ
報酬:北斗星のかけら5個
—————————————
そして、集めた14個の〝北斗星のかけら〟(既に持ってた5個+昨日ゲットした9個=14個)で、ノドから手がでるほど欲しかった〝
しかも、既に
(集めるの結構大変なはずなんだけど……ひょっとして徹夜?)
だから、基本無料の
(しかも毎日の追加ログインボーナスまでもらえる! お得だ!)
ん……? なんだか話がずれてしまったけど……とにかく!
昨日の期間限定ウルトラチート魔法、〝16倍
そして、〝
俺は、はやくその効果を確かめたい気持ちをおさえながら、自転車に乗って坂道をくだった。
目の前には見渡す限りの美しい水平線が広がる、そして自転車に乗って下る坂道でほほに感じる潮風は、九月上旬の、まだまだ暑さがきびしいこの時季には最高に心地がよい。
ああ……我が
俺は満面の笑顔で、この長い長い下り阪を、ブレーキをほどよく握りしめてくだってく。そしてそのまま自転車をかっ飛ばして帰路についた。
「ただいまー」
俺は元気よく声をあげる。すると、トントンとリズムカルな音を立てて、階段をおりる音が聞こえてくる。
「スーちゃん! おっかえりー!」
「……
俺は、自分の保身のために質問した。これ以上、
「安心してください。はいてませんよ!!」
「ちょ! やめてください!!」
俺は務めて冷静にいやそうな顔をして返事をした。そして、しっかりと安心できないところを凝視していた。
しかたない。俺は男なのだ。非モテなぼっちな男の子なのだ。
しかたない。ああしかたない。しかたない。
「ん?」
でもそこには俺が期待していた光景はなかった。
「にゃははは! ざーんねーんでしたー。スーちゃんのむっつりスケベ!!」
「ちょ! やめてください!!」
俺は今度は本気で言った。顔が熱い。耳まで真っ赤になっているのが自分でもわかる。
「パンツははいたら負けだけど、スエットは問題ないのだ!!
そして、そんなどうでも良いことよりも、
どうでも良くはないと思うけど……。
ツッコむ間もなく
すると、
「あ、ぬげちゃったのだ!!」
「ちょ! や、や、や、やめてください!!」
俺は、心臓を高鳴らせながら、息も絶え絶えに返事をした。
そのすばらしくも神々しい光景を、しっかりはっきりと凝視しながら、息も絶え絶えに返事をした。
やむ得ない。俺は男なのだ。非モテなぼっちな男の子なのだ。
やむ得ない。ああやむ得ない。やむ得ない。
俺は、この素晴らしい光景を、頭の長期保存領域に永久保存した。鍵をかけてしっかりと保存した。
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