第9話 ゼロパーセントな保健室。
俺が保健室登校を始めたのは、一年生の二学期の中頃。きっかけは文化祭だった。
生徒の自発的なコミュニケーションが必要となるイベントで、とても自発的な
俺は、
それがマズかった。とんでもなくマズかった。
マズかったのは、フレンチトーストではない。その状況だ。
そもそも、頭の悪い俺は気づくことができなかったんだ。
とんでもないくらいの美少女の
そこからは、あっという間に悪い噂が広まって、俺が
結局、色々あって、とんでもないくらいの美少女の
そもそも、フレンチトーストのクオリティなんてどうでもよかったんだ。文化祭のメニューの味に期待する人なんかどこにもいないんだ。みんなが期待しているのは、ミニスカートのメイド服でけなげにご奉仕するJKメイドさんなんだ。
事実、JKメイドの
そして、まるでリスみたいにちょこまかと動いて、健気にご主人様にご奉仕する
チェキとメイドさんの「おいしくなるおまじない」がセットになったスペシャルパンケーキは、ちょっとエグいくらいの収入を記録して、クラスメイトのふところをホクホクとあたためた。
そして、そのごほうびを、つまりは天使のような
・
・
・
うん、やめよう。ネガティブな話はやめよう。今、思い出しても、ポロポロと涙がこぼれてしまう。もっとポジティプな話をしよう!
そう、ポジティブな話だ!!
なぜなら、俺は今、めちゃくちゃ幸せだからだ!!!
「はーい。では出席をとりますー」
バインダーを持った
「
「はい」
「今日もよく登校できましたー。えらいえらい」
「そして、今日は特別大サービスですー。いいこ。いいこ」
そう言って、俺の頭をなでてくれた。うれしい。もう、めちゃくちゃうれしい……んだけど、それを顔に出したらマズイ! 俺は務めて冷静にいやそうな顔をして返事をした。
「ちょ! やめてください!!」
「えー、なんで? スーちゃん、朝はあんなに喜んでたのにー」
「だ、だから、学校では、今まで通り、
「はーい」
「本当に……たのみますよ」
俺は、
俺は、顔がにやけてしまうのを必死でこらえつつ、今日の時間割どおりに、課題のプリントをやる。そして、すべてやりきったら
「はいー。よくできましたー」
授業時間が終わるたび、
「わー。
俺は、この
おかげ様で、授業を一切受けなくても、中間や期末テストは結構健闘できる。上位20%には楽勝ではいれる。
はっきり言ってしまうと、普通に授業を受けていたら、こんなにも成績はよくないと思う。
もう、いいことずくめだ。保健室はパラダイスだ。
キーンコーンカーンコーン
そして、本来ならば最高のパラダイスになるはずの、お弁当の時間がおとずれる……はずなんだけども。
ガラリ
「
「あー、
「わたしと、スーちゃんはおべんとうだよー。スーちゃんのお母さんがつくってくれたのー」
「え? スーちゃん?? てか、なんで
「それはー……」
よっぽどうれしいのか、ときどきぴょんぴょんと飛び跳ねて、しばって前にたらしたウエーブがかった栗色の髪の毛が犬のしっぽみたいに左右にゆれている。
「つまり、
「ピンポンピンポン! スーちゃんはわたしのカワイイ弟くんなのー」
そう言って、
やばい、この状況は本当にヤバい!
俺は知ってるんだ、たとえ義理でも姉弟は結婚できない。
いや法律上は問題ないけど、世間体がある。
だから、俺が
ただでさえ、この無理ゲーな野望が、とんでもない低い成功確率が、姉弟なってしまうと、もう〝永遠のゼロ〟になってしまう。俺は、それだけは絶対に阻止したかった。
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なかがき
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ここまでお読みいただきありがとうございます。
めっちゃうれしいです。
ちょっと変わったVRMMOモノが書きたく、主人公がVRゴーグル酔いをするので装着できないという変化球なVRMMOモノになりました。
ゲーム半分、お色気半分くらいの割合で、ラブコメをしてく所存です。
ちょっとでもお気に召されましたら、ブックマーク、そしてお星さまを戴きたく存じます。私の煩悩の源は、みなさまのお星さまでございます。
なにとぞ、よろしくおねがい致します。
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