第3話
バイトを募集して数日が経過したが今のところバイト希望の人はこの店に現れてはいない。
「やっぱり、日中のお給料が時給860円とか安すぎるんですよ!せめて1200円にすべきでした!」
「それだと夜勤の人の給料と同じになってしまうだろうが」
「統一すればいいんですよ!それか夜勤自体を無くすとか!」
「それだとコンビニのアイデンティティとか存在意義がなくなってしまうだろうが。それにディアは深夜に食べるコンビニスイーツは背徳感があって大好きって言ってただろ?それができなくなるんだぞ?それでもいいのか?」
「うぅ、それはそうですけど……でも、このままだと来ませんよ?バイト希望の人が」
俺はそうだよな、と相槌を打ちながら女神の資金で試しに仕入れてみたチョコレートをひとつまみ。うんおいしい。
「リラックスしすぎですよ!?」
「こうゆう時こそ焦りは禁物なんだぞ?ほら、これ食べるか?」
「食べますけど……ん!?なにこれ!?苦味の中に甘さが!」
「抹茶味のチョコレートだ。ディアには好評っと」
すると、ウィーンとドアが開きピロリロリン♪とお馴染みの入店音が鳴り、入ってきたのは——。
「す、すまない。私はカリア。求人を見てここに来たのだが……こんびに?とはここであっているだろうか?」
新雪のような綺麗な銀髪をポニーテールにし銀色の騎士甲冑を身につけている、クール系の女性だった。
「そうですよ。あ、自分が店長の東雲雷牙です。えっと、履歴書は持参してますか?」
「あ、ああ。どうぞ」
「受け取りました。では、ついて来てください」
俺は女の子から履歴書を受け取るとゆったりとプリンを食べているディアを引っ張ってバックヤードに連れて行く。
喚くディアに再度プリンを与えて黙らせる。緊張しているので女の子にもプレゼント。
「わ、私は今から試験を受ける身。そんなものはいただけない」
「しょうがないですね〜!もったいないので私がもらいますね☆」
「……むっ!それなら私が食べる」
カリアはスプーンでプリンをすくい、そのまま口に運ぶとカッ!と目を見開いたかと思うと頬を緩め、そして。
「……美味しい」
クール系の人のそれはダメですって。
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