17話 座をかけた決闘

レイが屋敷に入ると1人の女性が横たわっている


これはきっとセシルが倒した相手だろう。

屋敷の奥の方へセシルは進んだのか。


レイは屋敷の調査をすべく地下への階段へと進んだ


階段から既に、禍々しい魔力を感じる

レイはおそるおそる地下へと進んでいく



「侵入者、たった1人で…いらっしゃい」


どこからかそんな声が聞こえる

レイがたどり着いたのは大きな地下図書館だった

大きな本棚にたくさんの本が綺麗に並べられている


「知識に勝るものはないのと私は思うのだけど、貴女はどう思う?賢者さん」


本棚の隙間から1人の少女が姿を現す


「貴女から溢れている魔力、あなたが妖魔を操っているのですね。」


「えぇそうよ、だから私の魔力量がどんなものか分かるんじゃなくて?」


確かに、あの量の妖魔を彼女1人で操っているとなると、彼女の魔力量は尋常じゃない


「なぜこれほどの魔力を持っているのか。それはこの本たちに込められた知識を私は全て会得しているから。賢者のあなたにも、負けないわっ!」


無数の本が宙を舞い、本の頁から魔弾が放たれる


レイは空高く飛び立ち、図書館を飛び抜ける

だが無数の本がレイを逃がさない


「くっ…流石にこの量はっ!」


「私はナナミのように油断はしないわ。いつだって、最善を尽くす…魔弾強化。私の魔力放出量を増やします」


本から放たれる魔弾の威力、範囲が上昇、拡大される。


「ああもう鬱陶しいな…!」


逃げることしかできないレイに、彼女は


「この戦いに私が勝ったら、賢者の座は私がいただきます」


「……はっ?」


「賢者がそんなものだとは思いませんでした。虫のように逃げ回る貴女に賢者の資格があると思って?」


「………」


「その夢幻眼、私が大切に、良いように使ってあげます」


「さっきから言わせておけば、私だったらこの眼を使わなくたってあんたなんかには負けないわっ」


「いつまで強がっていられるかしら」


攻撃が増す

レイは空を舞いながら攻撃をかわし続ける


「やっぱり何もできないのね!口だけの…」


瞬間レイは地面へ着地し、地と手のひらを重ね合わせる


「消極」


レイの周りから半円の結界が広がるその中に入った本が魔力を失いその場に落ちていく



「魔力を打ち消す力…賢者だものね。それくらい使ってもおかしくない。だったらその結界を打ち消すまで」


魔弾が結界めがけて飛んでいく


「魔術拡張」


それは魔術を純粋に強化する初級魔術

結界がみるみるうちに広がり、図書館全体を消極の結界が覆い尽くしてしまった


「な、う、そ…」


「簡単な話、私は誰でも最初に学ぶ魔力を打ち消す魔術に強化魔術をかけただけ。そう、初歩の初歩よ」


「なっ…馬鹿にしてるの!?」


「いいえ、こういうこともできるって盲目の貴女に教えてあげただけ。大事なのは使える魔術の量じゃない。どう扱うかよ。知識量で勝とうとした貴女の負け。邪魔しないなら何もしないけど、邪魔するなら」


「くうっ!!」


彼女が放った魔弾が一つに集まりレイめがけて放出される



「夢幻眼•次元転移」


魔弾が一瞬にして消える

その一切の余韻を残さずに


「この…反則…」


彼女がその場に倒れ込む。

きっと魔力を消費しすぎたのだろう


「夢幻眼は確かに反則と言われても仕方ない。夢幻眼は神に与えられた世界の均衡を正す眼…悪いけれど、”この眼に抗う術は私たちにはない”」


レイは俯きながら奥へ進む


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