16話 圧倒的

セシルは屋敷の奥へ進む

暗く、豪華に飾られたシャンデリアは灯りひとつ付いていない


「もったいないわね。あれは売ればかなりの値段になるわよ」


次の瞬間銃弾の雨がセシルを襲う

セシルはひらりとかわすが、一瞬でこれほどの銃弾が降り注ぐなんてありえない


だが、彼女ならあり得た


「今のをかわすなんて、流石は賢者の中でも最強と謳われた…セシル」


「時空魔術の魔力がこの部屋に溜まっているのはわかった。けど相手が私とわかって油断しなかったのは褒めてあげる。けど、今すぐ退いてもらうわ」


戦いが始まる。セシルはいつでも動ける構えに入り、時空魔術を扱う彼女も銃弾を装填する


「ナナミ…覚えておきなさい。あんたを殺す、者の名だっ!!」


銃弾がセシルめがけて打ち下ろされる

セシルは避けるがナナミはこの時にも時空魔術を扱う


銃弾を避けようとした時、ナナミはすでにセシルの背後をとっていた


頭を弾丸が射抜く。

セシルはその場に倒れ込む

だがセシルの身体はまるで雲のように消えていく


「やはり…」


「強力な魔術ね。けど、どんな魔術も弱点になるものはある。今回はそれが私の夢幻眼だった。」


「自分の分身に他にもたくさんの術を持っているその眼の前にはどんなものも弱点にもなりうるでしょうね。本当に、あんたたち賢者は…どこまで私たちの邪魔をすれば気が済むのよ!」


再び銃弾が乱射される

セシルは飛翔し全てかわす

走っているセシルをナナミは追い打ちする

それは全て壁のガラスを打ち抜きガラスの割れる音が屋敷のロビーへ響き渡る


「いい加減っ!」


「感情的になる者は魔術を扱えきれないわよ。最初に習わなかった?」


一瞬でナナミの目の前へ近づく

だがそのさらに一瞬、セシルの周りには無数の銃弾が構えてあった

そして彼女が一言呟く


「さようなら、賢者さん」


無数の銃弾がセシルを襲う

セシルの姿は煙で見えない

だがナナミはセシルはもう銃弾に撃ち抜かれ身体中がボロボロになっていくのがわかっていた

さっきの彼女は紛れもなく本物

だから彼女は全魔力を注ぎ込み5倍の速度で動き、全銃弾を撃ち込んだのだ


「夢幻眼•神結び」


セシルは全てを防いで見せた。

その夢幻眼という未知の力が持つ魔力の前にナナミの力は完封された


「なっ…えっ…?」


「次で終わりよ。先に進ませてもらう」



      「夢幻眼•火雷」


ナナミの前に静電気がどんどんとほとばしる

セシルの手からも雷の強さが増す

セシルが手を思いっきり合わせた瞬間、ナナミの周りを浮遊していた静電気は豪雷へと姿を変えた


「うっ…あっ…!!」


ナナミはその場に倒れる。

セシルは、賢者としての力を見せつけたのだ


だがまだ戦いは始まったばかり

セシルは屋敷の奥へとさらに足を踏み入れる

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