14話 Fight song

門番との戦いは熾烈を極めていた


一つ一つの拳の連撃が最強で確実


「ほらほらぁ!こんな…もんかよ!」


「くっ…うっ…」


刀で拳を塞ぐには限界がある

だが相手は刀をうまくみかわす


そりゃそうだ。一度でも切られたら相手はこちらと違って致命傷だ


だが…だからといって…これは…


考えるな


「はあぁっ!!」


こちらも連撃を繰り出す

だが全てかわされる


長時間戦い続けて疲労が襲う


「えぇ?もう終わり?早くない?ここに来たってことは巫女だと思ったんだけど」


「くっ…言ってろ!!」


落ち着け

落ち着いて刀を振れ

このままだと相手の思う壺だ


「ふぅ…はぁ…」


「もう帰ってくんないかなぁ。あんたは俺には勝てないよ。帰らないなら、終わらせるわ」


空気が変わる

奴の拳に光が纏われる


「骨砕き」


奴が魔術を纏って近づいてくる


小さく微笑む

あれだけ魔力を使ってくれればこっちだって勝機がある


「地天」


奴の魔力を吸収する

剣が奪った光を纏う


「はぁっ!?テメェ何俺の!?」


「相手をナメすぎだ。これで終わりだぁ!」


刀を振る。これで、終わりだ


「まだ、だろぉ!!!???」


奴の拳の光がさらに輝く


「吸収されるなら更に魔力を補給するだけだろォ!!??」


「なっ…!?くっ…けど今のこの刀なら」


刀を思いっきり振りかぶる

奴の拳と衝突する


瞬間


奴の拳は俺の腹に当たり、内部の骨を文字通り砕いていた


刀は折れ、骨は砕ける

なす術なし‥か


「魔力の差、それが少し違うだけで力の差は歴然となる」


その通りだ

けれど


「タダではやられないぞ」


崩れた笑みを浮かべ、無の魔力を纏った折れた刀を相手の腹へ刺し、そのままねじこむ


ぐちゃ、ぐちゃと痛みが続くように

与えた傷に更に痛みを与える


「中‥まではいかなかったな…ふふ…」



「ぐっ…あぁ!!!貴様ぁ!!!」


奴の渾身の一撃は負傷した腹へ当たり、そのまま身体が吹っ飛ぶ


だがそれでは終わらない


奴が空中まで飛んでくる

そして俺の身体を橋の下に流れる川へ蹴り飛ばす


身体が冷たい

腹が熱い

このままだと…

そして俺は気を失い、初戦にして完全なる敗北をした


「ぐっ…はぁ…はぁ…」


門番は門の前で倒れ込む


「あのクソ…無駄にこんな傷与えやがってよ…」


だが門番に休む暇はない


星が二つ、飛来する


「あんたの地区の時間なんだから私を巻き込まないで」


「とは言ったってセシルの地区は椿たちがやってくれてるんだから2人で元凶を潰したほうが早いだろ」


「まぁ…それはそうだけど。じゃあ、とっとと終わらせますか」


「なっ…賢者…マジかよ…へっ…まぁ時間は稼ぎますよアンビ様…」






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