第3話 魔術師
黒い影を追って声がする方へ駆けていく。
木々が邪魔をして皮膚に傷が入るのを気に留めずにセシルを傷付けた相手を無我夢中で追いかける。広場に出たときに、すでに戦いは始まっていた。
そこには黒い影、そして空色の長い髪を下ろした誰か。
「あなたなんですか!俺たちを助けてくれたのは!」
何者かを問う。あんな人をこの周辺で見かけたことがない。なにせここは小さな村のはずれの田舎。あんな目立つ人がいればすぐに気づく。
「そんなことより!手伝って!こいつ今までと違う!なんていうか、力強いの!」
黒い影が彼女を追い詰める。
俺は、影めがけて剣を振り下ろす
だが
影はその剣を片手で抑え付けたのだ。
「なっ…」
剣を掴み、俺ごと木々へ投げ飛ばす
ゴッ
木にぶつかった衝撃が痛い。今まで感じたことのない痛さ。
おれは ずっと まもられてたんだな
ほんとうに 無力だ
ぼやける視界の中で、彼女が懸命に俺を守ってるのが分かる。
怖い、苦しい、けど
限界を迎えた身体を無理やり動かす
「やば…これ、折れてる?」
いや、俺の心はまだ折れていない
なら進め、戦え。あの人を守るんだ
黒い影の攻撃が、彼女を襲う。
彼女は既に傷を負っている。
このままではここでやられるだろう
だが
彼が、それを許さない
「があああああ!!」
雑な叫び声と共に、アビスは森の中から現れた
「その人から、離れろ!!」
渾身の力で剣を振り下ろす
だがその力をもってしても影は受け止める
故に彼は
剣が光る。魔力を剣に纏わせたのだ
「使えるのは、この人やセシルだけじゃない」
「うそ、あんた」
彼女はその光景に驚く
アビスは剣は扱えても”魔術を教えたことはないと聞いていたから”
光を纏った剣が影を溶かす
そして
光の一閃と共に、影は粉々に消えていった
視界が揺らぐ。終わった…んだよな
その場に倒れ込む中で、彼女が何かを俺に言っている
だめだ。疲れた。ちょっと
休む
暗い、暗い闇の中。そこに現れた一筋の光
その光は、いつか彼方へと届くのだろうか
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