〈作者〉









カオル先輩ですが…

笑実ちゃんと距離が出来た後も

着信音は変えないままでいて

ぼんやりと思い出していました




懐いていて自分が会おうと思えば

いつでも会えると思っていた頃は

そこまで頻繁に

思い出したりしていなかったんですけど

もう前の様には会えないと思うと

寂しさも感じて会いたいと

思う様になっていました





でも第二章での別れの時ほど

想いは大きくないので

この時はぼんやりと会いたいとは思っても

スーパーに探しに行ったりはしてませんでした





2ヶ月近く経って

飲み会の最中にシュウ先輩に電話をかけてきた

アキラ先輩の電話に最初は出ようとは

しませんでしたが

「お前のペットが〜」の言葉が

電話から漏れ聞こえてきて

眉をピクリとさせながら

シュウ先輩のスマホを取り上げました





またアキラ先輩達側が笑実ちゃんに

何かしたのかと思って不機嫌になりますけど

アキラ先輩の言葉を聞いて

イライラしながらもシュウ先輩のスマホを

耳に当てたまま飲み会から出て行こうとして

シュウ先輩も「えっ?」ってなりながらも

アキラ先輩の言葉も気になって

後を追っていきます




コウ先輩にも声は聞こえていて

飲み会は微妙な空気に変わって

女の子達を帰らせて

残りの先輩達はシュウ先輩の部屋で

帰って来るのを待っていました





車の中でアキラ先輩から

バイト先での話を聞きながら

悪い夢を見ると言っていた事を

思い出していて…

沙優ちゃんのダイキ先輩の話も聞いて

あの日自分が言った

「アイツよりもいい男だよ」の男が

ダイキ先輩だと分かり

笑実ちゃんが泣きながら

「ダイキ先輩の方がいいです」と

言っていたのかも理解します…






焦る気持ちもありましたけど

この車の中で改めて

あの夜に笑実ちゃんに言った

言葉の意味や傷つけた事を

カオル先輩の中で理解していった 

時間なんですよね





笑実ちゃんがトイレから出てきて

無事だったんだと分かった時は

ホントに安心しましたし

自分の腕から離れようとしないまま

眠ってしまった笑実ちゃんを連れて

タクシーで帰りながら

笑実ちゃんの寝顔に「おやすみ」って囁きます





「カオル先輩のおやすみを聞いたら〜」





笑実ちゃんのあの言葉を思い出して

「おやすみ、笑実ちゃん」って感じに

優しく囁いてあげていました





シュウ先輩の部屋に連れて帰ってからは

寝室に笑実ちゃんを寝かせようとすると

自分の服を掴んで離さない笑実ちゃんに

小さく微笑んでから

自分も一緒にベッドの上に横になって

眠っている笑実ちゃんの頭を撫でながら

笑実ちゃんと出会った春からの事を

思い出していました




カオル先輩は自分が笑実ちゃんに

女の子として惹かれている事に

まさかだねと少し驚きますけど

自分の腕の中で眠っている

笑実ちゃんの温かさにしっくりときて  

落ち着いている自分に納得します





笑実ちゃんが感じた通りに

カオル先輩はこの日が初めて

笑実ちゃんを〝女の子〟として扱った日なんです





離れた時にペットじゃないと分かり

特別な子だとは分かってましたけど

ちゃんと認識をしてから会うのは

初めてですからねヽ(*´∀`)





笑実ちゃん視点で

お互いのなんて事のない

話をしていたとありますが

笑実ちゃんから見ればそうなんですけど

カオル先輩からは少し違っていて

笑実ちゃんが初めてカオル先輩に

使ったワガママと一緒で

カオル先輩は笑実ちゃんの事を

もっと知りたいと思っていて

笑実ちゃんの家族の話や

学校での話に耳を傾けていたんです





自分の誕生日プレゼントを

買いに来ている笑実ちゃんを見て

まだ自分に対して

特別な感情を持っていると感じ

嬉しかったですし…





クリスマスにスナックにいると

分かった時はモヤっとした感情もわきました





でもクリスマスに会う予定のなかった

笑実ちゃんと急に会えると思うと

嬉しかったですし…





前にも書きましたが…

カオル先輩達はあくまで5人で楽しむが

大前提なグループでして




ルールとかじゃないんですけど

本当に仲良くていつも一緒にいますし

カオル先輩も皆んなとふざけて集まっている

時間や雰囲気が好きでしたからね





笑実ちゃんに対して特別な感情がある事には

気付いていますけど「という訳だから」

みたいに輪から出て行ったりもしませんし…






シュウ先輩が沙優ちゃんと距離を

置こうとしている事にも気付いてますし

リナちゃんがヒカル先輩に気がある事にも

気付いてますけどヒカル先輩には

全くその気もないので…



 


他の友人達があまり乗り気じゃないのに

飲み会に笑実ちゃん達をいつも呼ぶわけにも

いきませんしね…






でも、笑実ちゃんと会いたいので

プレゼント交換の話を持ちかけます!

今後は飲み会じゃなく

個人的に笑実ちゃんと二人で会おうと

思い番号を交換します






笑実ちゃんは全く聞いてこないから

カオルちゃん…自分で動きました…笑





スナックから出た後は

皆んなでカラオケ屋に行っていたんですけど

リナちゃんがヒカル先輩に今から帰ると

連絡が送っていたのをたまたま見た

カオル先輩は笑実ちゃんも

アパートに帰ったのが分かり

コンビニに行くと言って

一人で抜け出して

笑実ちゃんに会いに行きます




いや…先輩達気づいていたんですけど…

むしろ30分位で帰って来た

カオル先輩に内心アレ?っと思っていました

皆んな、笑実ちゃんはカオル先輩に

もう抱かれていると思っていましたし

1〜2時間は帰って来ない位に

思っていましたからね…σ(^_^;)




まさかキスだけをしに行ってるなんて

思ってない、思ってない…笑





ある意味カオル先輩にとっての

初めての片想いですからね

ちょっとでも会いたいですし

前のペットの時のキスとは

違って笑実ちゃんを大事に扱いましたし

この日に抱く!みたいな事も

考えなくなっていて

その時がくるまでゆっくりと待つつもりでした





笑実ちゃんの気持ちを

考えてあげれる様になりましたね…














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