〈エミ視点〉









カオル「無理させちゃったね?」





カオル先輩の優しい声が聞こえ

頭を撫でられているのが分かったけれど

重い瞼を開ける事ができず

フワフワとした心地よい感覚に身を任せていると

ギシッとベッドが揺れ先輩がベッドから降りて

離れていく足音が聞こえる





( ・・・・カオル先輩… )





離れて行く足音に寂しくなり

瞼を少し開けると扉がパタンと閉まるのが見え

「せん…ぱい…」と呟きながら

しばらく扉を眺め…

脚や腕に当たるいつもと違うシーツの肌触りに

数時間前の事を思い出していた…





カオル先輩が私を眠らせたのは

カーテンから覗く群青色の空が

綺麗な青色に変わっている時で

先輩の首に腕を回して甘える様に

肌を合わせて抱きついていた…





( ・・・それからの記憶が…ない… )





日付けの変わる少し前から

先輩に抱きしめられていたけど

頭の中が白く光りそうになると

先輩は腕や腰の動きを止めて

「まだダメだよ」と笑っていて…




以前私の身体の事はカオル先輩の方が

良く知っていると言われた事があったけど

本当にそうかもしれないなと思った…





( ・・・・・・ )





目線を扉から直ぐ目の前にある

白いシーツに向けて自分の顔が緩んでいく




カオル先輩は途中…

私を自分の上に座らせたり

後ろから身体を包み込む様に抱きしめてきたり…

何度か体制を変えて抱いていたけど

前回の泊まったホテルでは

座るカオル先輩に抱っこされるような体制でしか

抱いてくれなくて…

あれ以降1ヶ月近く何もなかったから

何かしちゃったかなと思い聞いてみた…





カオル「あそこのシーツには

  あんまり触れさせたくなかったからね?」






「・・・・えっ?」






カオル「シーツ…もう何セットか買おうか?笑」





カオル先輩の言葉の意味が理解できず

「シーツですか?」と動きを止めて

私を見下ろしている先輩を見上げた





カオル「沙優ちゃんが眠ったシーツに

   俺が裸で横になったらどう思う?」





「・・・・ダメ…です…」






想像してみると胸の奥がふつふつと

いい音を奏でなかったから

唇を尖らせてそう言うと

「でしょ?」と笑いながら

私のとんがった唇を

親指と人差し指で挟んでくる先輩に

「同じのは…ダメです」ともう一度伝えた…





( ・・・・会いたい… )





カオル先輩があのホテルで

いつも以上に抱きしめて寝ていた理由が分かり

少し前に部屋から出て行った先輩に会いたくなって

腕に力を入れてゆっくりと状態を起こし

身体の節々に感じるぎこちなさに

また顔を緩ませてベッドから脚を降ろした





あんなに長く抱かれたのは初めてだったし

先輩の言った通り〝優しく〟はなかったと思う…






( ・・・・でも… )





私のお願いは…ちゃんと聞いてくれて

甘過ぎる位に可愛がってもらった…





後ろから激しく突かれ徐々に

腕に力が入らなくなり

ベッドにうつ伏せの状態になると

先輩も上体を倒してきて

「汗かいてるね」と言いながら

私の髪を横によけて

耳から首へと舌を添わせてきて…




繋がったままの下半身が

またゆっくりと動きだし

枕に顔を埋めて

必死に声を我慢しながら

枕をギュッと握るっていると

先輩の手が重ねられてきて

「笑実ちゃん」と私を呼ぶ先輩の声にすら

反応してしまっていた…






部屋を出て階段の方へと顔を向けると

アキラ先輩も階段を降りようとしていて

「おはようございます」と頭を下げると

先輩は私を見て少し驚いた表情を見せて

「お前…」と小さく呟いたから





起きたままだったと思い出し

慌てて手ぐしで髪を整えながら

「すみません」と謝ると





アキラ「夜通し抱かれてましたって顔だな?笑」





先輩の言葉に一気に顔に熱がこもり

今の自分の顔が真っ赤だと分かったし

その態度がアキラ先輩の問いかけに対して

「そうです」と肯定している事も分かった…






アキラ「夜は立派な成犬ってわけか…笑」






「・・・・・・」






相変わらず意地悪な先輩だと思って

顔を俯かせると「先に行け」と聞こえ

顔を上げるとアキラ先輩は

自分の部屋へと歩いて行き

「朝飯俺らの分も残しとけよ」と言って

扉の中へと消えていった





降りないのかなと

少し立ち尽くしていると

誰もいないのか静かな廊下に

アキラ先輩と一緒の部屋にいる

お姉さんの声が微かに聞こえ

足音を立てない様に階段を降りて行き





カオル先輩といい、アキラ先輩といい

スケベな先輩達だと思いながら

リビングの扉をそっと開けて中を覗くと

直ぐ手前にあるキッチンにカオル先輩を見つけて

笑っている笑顔に駆け寄った





部屋にはヒョウ先輩達も来ていて

さっきのアキラ先輩から言われた言葉が横ぎり

何となく目を合わせずらく…

ずっとパン屋やテーブルを見ながら…





( 先輩達も皆んな…あんな事してたのかな… )





パンに手を伸ばして「美味いなコレ」と言う

コウ先輩の顔を見てそんな事を考えていると

昨夜の記憶がどんどん蘇り…

益々顔を俯かせながらパンを食べた…































   

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