〈コウ視点〉








( ・・・・本当にコイツらは… )






朝から俺達の棟に来て

バカみたいな顔で笑っているヒョウ達に

呆れながら笑実ちゃんが

朝食用にと作ってきていたパンに手を伸ばした






ヒョウ「チワワあれ着て

   プレゼントは私ってやつしたのかな?笑」





ジン「したから起きて来ないんだろ」





シュウ「あのカオルが1ヶ月ご無沙汰じゃな?笑」






昨日…シュウ達の棟で飲み会をしたらしく

酔っ払った美保ちゃんが笑実ちゃんに

卑猥な下着をあげた事も…

カオルと笑実ちゃんがレスだった事も

全部話してしまった様で

シュウ達が朝から揶揄いに来ていた





( ヒョウといい…美保ちゃんといい… )





笑実ちゃんを不憫に思いながら

眉を吊り上げているだけのサトルに目をやり

アイツも昨日の夜中に

カオル達の部屋の前を通ったんだと分かった…





( ・・・・なんていうか…変な感じだ… )





カオルと笑実ちゃんは付き合っているわけだし

そう言う事だってしているのは知っていたが…






ヒカル「こんな事なら部屋割り変えずに

   カオル達と同じままで聞き耳立てたかったな?笑」





コウ「・・・・・・」






自分達が思いっきり楽しみたい為に

ワザと部屋割りを変えたんだろうが

コッチは別の意味で寝不足だった…





昨日の夜中トイレに行こうと廊下を歩いていると

情事特有のベッドのキシム音が聞こえ

3時過ぎだぞと驚きながら

気を遣って一階のトイレへと行き

用を済ませて階段を登っていくと

変わらず聞こえるベッド音に

小さくタメ息を吐いていると…






「………カオッ…」






( ・・・まさか… )






一瞬聞こえてきた

聞き覚えのある声に思わず足を止めて

固まっているとベッド音が途切れ

また直ぐに聞こえ出した事に

体位を変えたんだと分かり

慌てて自分の部屋へと戻った…






カオルは今更驚かないが

笑実ちゃんのそう言う場面は想像した事もなく

妹のエロシーンを見たような…

変な気分だった…






ヒョウ「カオル達はともかく

   アキラ達もまだ起きてないなんて

   コッチのチームはよっぽど楽しんだんだね?笑」





コウ「お前らも

  楽しんだ相手の所に戻らなくていいのか?」






ヒカル「女の子達はお土産見に行ってるよ」

  


 



一緒に来ているナオちゃんも

「お土産見に行こうよ」と言い出し

着替えに部屋に戻ろうと扉を開けると

カオルが「おはよ」と立っていて

リビングへと入って行くから

ナオちゃんに先に行って準備する様に言って

俺はカオルの後を追ってリビングへと戻った





シュウ「笑実ちゃんはどうした?笑」





揶揄う気満々なシュウの問いかけに

カオルは小さく笑って「まだ寝てるよ」と答え

冷蔵庫からパックのコーヒーを取り出して

グラスに注いでいる






ヒカル「昨日は…楽しかったか?笑」





カオル「それ何の質問?笑」






カオルはコーヒーを飲みながら

笑実ちゃんのパン手に取って食べ出し

「そっちは?」と

ヒョウ達に問いかけていると

「飽きねーのか?」と

サトルの声が会話を遮った…






サトル「ユウトだって彼女以外にも

   そこそこ遊んでるし…

   もう半年位だろ?飽きねーのか?」






なんて質問してんだと言いたい所だが

カオルは俺たちとそう言う類の

飲み会をいつもしていたわけだし

サトルの言う「飽きないのか?」は

正直俺も疑問に思った事があった…





〝笑実ちゃん〟自身にではなく

遊びまわっていたカオルが一人の身体で

満足出来ているのか不思議だったからだ





シュウ達も俺と同じ様に感じていたのか

興味あるという顔でジッとカオルを見ていると

「飽きるねぇ…」と呟きながら

手にあるパンを口に放り込み

「難しいかもね」と小さく笑った





どういう意味だと聞こうとした瞬間

ガチャッと俺の後ろの扉が開き

伺うように顔を覗かせる笑実ちゃんがいた





( ・・・・なんか… )






カオル「起きたの?笑」






カオルは笑実ちゃんに顔を向けて

「おはよう」と言いながら

コッチにおいでと言う様に手を差し出していて

笑実ちゃんは俺をチラッと見て

「おはようございます…」

と目を逸らしながら言うと

カオルの隣りヘと行き顔を赤くして

顔を俯かせている…





サトル「おい…また最後まで寝てやがったな?」





「あっ……すいません…」





カオル「アキラもまだだしいいんじゃない?笑」





笑実ちゃんは少しだけ乱れた髪を

耳にかけながらもう一度

「すみません」と小さく謝って

テーブルにあるパンを見つめている…





( ・・・・なんか…すごく… )





今日の笑実ちゃんは何ていうか…

〝女子〟に見える…

妹みたいな〝女の子〟なんかじゃなく…




揶揄いに来たはずのヒョウ達も

笑実ちゃんを見て少し固まった後に

妙によそよそしい雰囲気でパンをかじっている





カオル「笑実ちゃんもコーヒーでいい?」





カオルは何食わぬ顔で

冷蔵庫からまたパックコーヒーを取り出し

グラスに牛乳と一緒に注いでから

笑実ちゃんに渡してあげていて

それを受け取って飲んでいる姿すら…





( ・・・・まじか… )





昨日の川ではここにいる女の子の中で

誰よりも色気もなく…

あくまで妹キャラの笑実ちゃんだった筈が




今じゃ皆んなが連れて来た女の子の中で

1番異性的なものを感じる…





( ・・・多分…カオルだな… )





笑実ちゃんは数時間前まで

カオルに散々抱かれていたはずだ…





俺もナオちゃんを抱いたし

サトルやジンも楽しんでいた筈だが

カオルが笑実ちゃんを抱いた様な

抱き方は誰もしていないだろう…





笑実ちゃんはカオルの彼女で

ベッドの中でもカオルから

大事に扱われているだろうし…





ナオちゃんや他の子達よりも

そう見えるのは…きっとそう言う事だろう…





( 愛のあるセックスは違うって事か?笑 )





さっきのサトルの質問の答えは

笑実ちゃんを見れば分かった様な気がした…





そんな抱き方をしてる奴が

飽きるわけがねぇよな…











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る