〈コウ視点〉







試験を終えて教室から出ると

アキラ達が階段から降りてきて

「よぉ」と声をかけてきた





コウ「そっちも今日は終わりか?」





アキラ「いやまだ5限目にあんだよ」





コウ「地味にだるいな?笑」





4限目が空き時間で勉強が出来るのはラッキーだが

5限目だと18時過ぎまであるし

早く帰りたいだろうなと思った





ジン「今日もシュウの部屋で泊まり込みか?」





「いや今日は」と言いかけると

教室からヒョウが出て来て「アレ?」と

アキラ達に驚きながら

アキラ達も来るのかと問いかけている





アキラ「誕生日?」





ヒョウ「そう!明日誕生日だから12時過ぎて

   お祝いしてあげるんだよ」





ツカサ「ん??誕生日はお盆過ぎじゃなかったか?」





ツカサは去年の飲み会を覚えているようで

首を傾げているとヒョウが「あぁ!だったね」と

笑いながら去年の試験勉強中に沙優ちゃんが

カオルにお願いに来た話から…

まぁ…全てペラペラと話し出した…







サトル「おい、コラッ!

  あの時の合コン中止したのはあのガキの為かよ」

   





ヒョウ「あの時はカオルがチワワに

  全く手を出してなかったなんて知らなかったし

  まさか彼女になるなんて

  想像もしてなかったよね?笑」






サトルは笑実ちゃんの事になると過剰に反応するが

その事を全く気にせず「ビックリだよね」と

笑っているヒョウもヒョウだなと思った…






アキラ「あのカオルが大事大事にねぇ…」





ツカサ「明日も試験だろ?

   お祝いって大丈夫なのか?」






ヒョウ「チワワの誕生日は前もって決まってたからね

   明日の試験はなんとか…大丈夫じゃない?」





サトル「はぁ!?あんま甘やかすなよ」






そう…あの梅酒をつけた日から

笑実ちゃんの誕生日にはカオルがサングリアで

乾杯しようかと言っていたから

今回の試験勉強は早めに取り掛かっていたし…






ヒョウ「甘やかすっていうか…誕生日だからね?」





サトル「だから!試験終わってからでもいいだろうが!

   だいたいカオルのペットの為に

   何でお前らも試験中にそんな事してんだよ」






確かに友達の彼女の誕生日だからと言って

試験期間の真っ最中である今日に

アルコールを飲むなんて可笑しな話で

彼氏であるカオルだけならまだしも

俺達まで再試になりかねないそんな事を

なぜするのかと目くじらを立てている

サトルの言い分も分かる…






コウ「・・・・可愛いんだよ…俺達も」





サトル「可愛い!?」





ヒョウ「試験中毎日夕飯と朝ごはん作るしね」





ジン「それ可愛がってんのか?」





呆れた顔のジンに

お前も茶碗蒸し作らせただろうがと言うと

「あぁ!」と言ってツカサに

美味かったから今度作ってもらえと言っていた






ユウト「プレゼント…皆んないくら出してあげる?」





アキラ「プレゼント?何で俺らが出すんだよ」





ユウトがスマホを触りながら問いかけてきて

アキラやサトルが眉間にシワを寄せていると

ツカサは「いくらいけるかな」と財布を覗き出し

更にサトルの眉が吊り上がる…






サトル「いつまであの事気にしてんだよ!

   もう終わった事だし堂々としてろ!」






ヒョウ「もしかして美保ちゃん?」






ユウト「うん、何あげていいか分かんないし

  予算伝えて美保ちゃんにセレクトしてもらった方が

  チワワちゃんも喜ぶと思うよ?笑」






ユウトの言葉に確かに何をあげていいのか分からないし

手ぶらで行くつもりだったから美保ちゃんに

頼んだ方が間違いないかもなと考えていると






サトル「なんでカオルとイチャつく為の下着を

   俺達が買わなきゃいけねーんだよ!」






アキラ「確かにな?笑」






アキラは笑いながら財布を取り出し

「後期試験は俺達の飯も作らせろよ」

と言ってヒョウにお金を渡すと

ツカサと…「なんで俺もなんだよ」と小言を言う

ジンも渡していた


   



ツカサは最後まで抵抗して

一階にある売店に行くと

ジャイアントパプリコを

ガバッと手に掴んでレジへと持って行き

レジ横にあるセロハンテープで

ぐるぐる巻きにすると「コレをくれてやれ」と

ドヤ顔で俺達に渡してきた…





この日の12時過ぎにカオルの作った

サングリアで乾杯をしてお祝いをしながら

夕方美保ちゃんの店で受け取った

可愛くラッピングされた紙袋と一緒に

サトルの不細工なパプリコの花束を渡すと

笑実ちゃんは照れた様に笑っていて

「ありがとうございます」と言う

その目は少し潤んでいた






ヒョウ「さっ!皆んなで開けて見ようよ!」






「えっ!?」






ヒョウ「俺達中身知らないし…

  よくテレビとかじゃ皆んなの前で開けるでしょ?」






シュウ「そうだな!あげた側として

   中身を知る義務があるからな?笑」






少し酔っているのか楽しそうに

笑実ちゃんを揶揄ってラッピングをほどく

シュウ達にバカだなと呆れながら

俺も立ち上がって覗き込むと

「ダメですッ」と泣きながら

ヒョウの背中を引っ張る笑実ちゃんを

笑って見ているカオルにもどうかと思った…









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